テーマ:書評

ゴーリキー 「二十六人の男と一人の女」 光文社古典新訳文庫

 独自に集めた「ゴーリキー傑作選」。話者が男で話の中心が女の四篇が収められている。大平原に遠くに大山脈。空気にまで色が付きそうな原文の自然描写に特徴がありそうなのがわかるくらいに訳文から臭ってくる。ゴーリキーと言ったら「どん底」、とはちょっと違った雰囲気をどうぞ。 二十六人の男と一人の女 (光文社古典新訳文庫)
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コレット 「シェリ」 光文社古典新訳文庫

 24歳年下の恋人との破局を描いた作品。作者は結婚した夫の前妻の息子とできちゃうという本の内容なんかぶっ飛んじゃう経歴の持ち主。解説にもある通り最後の別れのシーンが秀逸かもしれない。私は映像向きなシーンだと思います。光と色をうまく使えば。 シェリ (光文社古典新訳文庫)
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山本博文 「武士の人事」 角川新書

 老中、松平定信が部下に「江戸城内や江戸市中での幕府役人、旗本、町人らの発言や話などを集めさせ」て書き留めた冊子「よしの冊子」を紹介している。写真はないがFRIDAYやThe Sunの記事を読む感じか。読み下し文にして解説してくれているので読みやすい。この本のうわさ話などが歴史をどの程度反映しているかなどわからないが、まあそう硬くなって…
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オルコット 「若草物語」 光文社古典新訳文庫

 今頃なんで、という本を少しずつ選んで読んでいます。昔のポピュラーな少女漫画の原作によくなった本です。どう考えても男性は脇役で、四姉妹の個性で回っていて、女性が好きになる話だろうなあ。しかし当時の教養小説的なところを置いといて読むとこれがなかなかいけます。ご多分に漏れず歳とともに涙腺が緩くなっているので、三女のベスがピアノのお礼に隣のロ…
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小方厚 「音律と音階の科学」 ブルーバックス

 この本はとても面白い。オタマジャクシと次のオタマジャクシとの関係、1オクターブごとの関係、ほんのちょっと一般化した話などの本です。  その昔、音源チップや音楽用チップなど恐れ多いどころか姿もなく、単音のの周波数発生器がボックスだった時代、キーボード・クリック音を出すためのオマケのような圧電ブザーでドレミを奏でたいというアホな人が何人…
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八木澤高明 「娼婦たちは見たイラク、ネパール、中国、韓国」 角川新書

 使い古された表現、人類最古の職業の話。ただ現代のそころじゅうでの話。昔から神殿や寺などで巫女などが神聖な行為におよぶという話は多いが、今現代でも行われているという所があるのはちょっと考えさせられる。  ちょっと理屈ぽいところもあるが、よくもまあ取材してきたものだと思う。著者の目に映る彼女たちがちょっとしらけた雰囲気なのは気のせいかも…
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マーク・トウェイン 「トム・ソーヤの冒険」 光文社古典新訳文庫

 「ハックルベリー・フィンの冒険」の後に読んでみた。「トム・ソーヤー」は当時の一般的なアメリカ市民の日常の中での物語で、「ハックルベリー・フィン」はほぼ浮浪者と奴隷の物語で階層がずっと下になる。当然話は別物になる。文体も「トム・ソーヤー」は三人称で、「ハックルベリー・フィン」はハックの一人称だ。評価しようとすると難しいが、個人的には文体…
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マーク・トウェイン 「ハックルベリー・フィンの冒険」 光文社古典新訳文庫

 「ハックルベリー・フィンの冒険」は「トム・ソーヤの冒険」のスピンオフ作品かと思ってこちらを先に読んでみた。時間的には後から出版されているので解説では続編としている。しかし実際には別物として読んだ方がいいかもしれない。  父親の暴力から逃げた子供と逃亡奴隷の筏を使った逃避行というのが内容。最後にトム・ソーヤ―が出てきて話を無理矢理まと…
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永田和宏 「タンパク質の一生」 岩波新書

 タンパク質がDNAから単に翻訳されて終るのでなく、いろいろな場所でいろいろな機構を使って折りたたまれ、品質管理されて補修され、削除されて再利用されるという一生を送るという話。おもしろい。  昔小胞体とかゴルジ体というのは何のためにあるのかわからなかった。現在はタンパク質や細胞部品をパックして輸送する機能がわかっている。タンパク質も特…
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高橋昌明 「武士の日本史」 岩波新書

 西洋の「暗黒の中世」のイメージと形式的な唯物史観などが輸入されて日本でも歴史の中に絶対的封建制がどんと座って動かない。そんな一面的な解釈がいやになってか網野など色々な人が歴史をもっと多面的に見ようとしている。この本もそんな文脈のなか武士の歴史を見なおそうとしている。  武は芸のひとつである、から始まる。芸であり家業である。家業である…
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老川慶喜 「日本鉄道史 昭和戦後・平成篇」 中公新書

 日本の歴史のインフラとして鉄道は欠かせないとして読んでみた本。特に鉄道マニアであるということはない。機械マニアではある。中公新書の同名の本の「幕末・明治篇」「大正・昭和戦前篇」と続く3作目。前2作はまだ読んでいない。副題に「国鉄の誕生からJR7社体制へ」とあるようにほぼ実際の内容は国鉄JR史である。  路線の拡大、統廃合、輸送力など…
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本川達雄 「ウニはすごいバッタもすごい」 中公新書

 動物、特に無脊椎動物全般に渡ったトピックスを紹介している。ちょっと風呂敷を広げ過ぎて焦点がぼけてしまっている所もある。タイトルの「バッタもすごい」はまったく内容とミスマッチで、特にバッタが大きく取り上げてられてはいない。昆虫の一部という扱いで、実際の内容も著者の専門分野であるナマコ、ホヤ、サンゴ、ヒトデなどが中心に紹介されている。面白…
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杉晴夫 「筋肉は本当にすごい」 ブルーバックス

 筋肉の動きが収縮するのでなく、リニアモーターのように超微小分子モーターによってスライドして実現されている話が中心に進む。貝が閉じ続ける力の話なども面白い。筋肉の一般入門書としては比較的詳しい方に入ると思います。 筋肉は本当にすごい すべての動物に共通する驚きのメカニズム (ブルーバックス)講談社 2018-09-19 杉晴夫…
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野田力 「フランス外人部隊」 角川新書

 フランス外人部隊といったら傭兵部隊として有名。即買ってしまった。  政治色はない。訓練所滞在記といった感じのひとりの傭兵の日常を紹介している。この人、突っ込みどころ満載なのだけれど、そこは置いとくと、傭兵の雰囲気がよくわかる。おもしろいので読んでみるとよい。 フランス外人部隊 その実体と兵士たちの横顔 (角川新書)KADO…
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小林登志子 「古代オリエントの神々」 中公新書

 古代オリエントやメソポタミア文明ではお馴染みの小林登志子氏の新刊。内容はタイトルそのまま。時期は紀元前4000~3000年ごろからイスラームまで。地域はエジプトを含むコンスタンティノープル以東。目次を見るとわかるとおり神々をある程度わけて扱ってはいるがなにせ広範囲に扱っているので神様がごまんと出てくる。そのうえ神々の習合、同一視もある…
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ヴィリエ・ド・リラダン 「未来のイヴ」 光文社古典新訳文庫

 オビに「アンドロイドSFの祖」とあったので読んでみた。1886年の出版だが、アンドロイドという言葉はすでにオートマタ、自動人形のような意味で使われていたようで、人造人間というような意味では初めて使われたようだ。  絶世の美女を恋人にした男が彼女の内面の乏しさに絶望して自殺しようとしたところを科学者が外面をそっくりにしたアンドロイドを…
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網野善彦 「日本の中世の百姓と職能民」 平凡社ライブラリー

 百姓はいろいろな姓のもののことで農民だけを指す言葉ではない。特にこの書での百姓は平民百姓のことで、つまり中世の公民のありようについて書かれている。職能民はいろいろな「芸」を持つ人々のことで百姓とは区別されているが、時代によって百姓に組み込まれたりするという複雑な動きをする。人々の力関係というものは複雑だ。  この本は論文等をまとめた…
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網野善彦 「無縁・公界・楽」 平凡社ライブラリー

 昔、中世と言えば暗黒の中世だった。それがヨーロッパでも日本でも現実的な光があたって見直されるようになった。日本で見直した一人が網野氏。現在5冊が平凡社ライブラリーにある。その一冊。天皇と直接つながるという制約を受けいれることで公民とは別の「無縁」な自由な場所を手にした人々がいた。逆に言えば王権の衰退とともにその立場も変遷を余儀なくされ…
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デフォー 「ロビンソン・クルーソー」 光文社古典新訳文庫

 この物語は児童向け簡約版で読むことが多いけれど、私もその程度の知識しかなくて全訳を読んでみた。しかし読んでみてびっくり。難波して無人島にたどり着くのだけれども、座礁した船からかなり大量のものをもちだし結構な文化生活を送るし、都合よく聖書も手に入れる。島の生活で孤独に襲われるも神の恩寵に感謝して心安らかに永年暮らす。環境設定としてはアメ…
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小野寺史郎 「中国ナショナリズム」 中公新書

 近くの国を理解しようシリーズ。最近の中国と言ったら中国のナショナリズムというので選んだ本。  ナショナリズムはよく知られている通り近代、現代の概念。特に大戦後に影響の大きい考え。わかりづらいのは民族主義とナショナリズムは別物だけれども区分けがわからないくらい混淆している点だ。そのうえ著者がぶやいているとおり現代中国でナショナリズムの…
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三上 章 「現代語法序説」 くろしお出版

 学生の頃、日本語文法はピンと来なくていつもの通りチンプンカンプンだった。学校文法を離れて、三上の代表作「象は鼻が長い」など色々読んでいると日本語文法もいろいろあると感じる。例えば日本語はぺったんぺったん張り付け言葉でいくらでもくっつけられる。当然話の力点は大抵後ろにある。三上の主張する「日本語には主語はない」などを読んだときは、なるほ…
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アレクサンドル・デュマ 「モンテ・クリスト伯」 岩波文庫

 レーニンに疲れたので本屋で目に入った「モンテ・クリスト伯」を読んでみた。古い人なら「巌窟王」というやつですね。内容は有名な本なので省略。岩波文庫版の訳は1956年の改版なので少し古いですが充分読みやすく、7分冊もあるのに一気に読めます。  巌窟王の記憶というと、テレビか何かでやっていた映画かアニメの記憶しかない。騙され裏切られて牢獄…
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中沢新一 「新版 はじまりのレーニン」 岩波現代文庫

 久しぶりにドイツ哲学用語の塊を読んで疲れた。レーニンを探していて「哲学ノート」の本を見つけてろくすっぽ中身を確認しないで喜んで買ってしまった。しまったというやつだ。レーニンの「哲学ノート」は弁証法の宝庫なので若いころドキドキして読んだ。レーニンのその他の著作はどうも少し無理してるという印象だけれど、この「哲学ノート」は別格だ。国民文庫…
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鶴岡真弓 「ケルト 再生の思想」 ちくま新書

 ハロウィンの元になったケルトの祭りを起点にケルト文化の死生観、考え方を紹介している本。もともとヨーロッパ大陸に住んでいたケルト民族が民族移動で北に押しやられてアイルランドに残るケルト文化を中心に記述されている。大陸のガリアに残る文化も紹介されている。  一年を4つに分けて、農耕牧畜文化の自然との関わりを生と死、光と闇を循環としてとら…
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ニック・レーン 「ミトコンドリアが進化を決めた」 みすず書房

 共生したミトコンドリアを単なる細胞の構成物と見なさず、真核細胞、多細胞生物への進化、雌雄の分化、アポトーシス等などの機能の発生の原因になったと主張している著書。いろいろな研究結果から推論している。推論なので異論はいろいろあるが魅力的な主張だ。ミトコンドリア同士の水平遺伝、ミトコンドリアの膜の意味など多々面白い話が満載。なるべく予備知識…
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二松啓紀 「カラー版 絵はがきの大日本帝国」 平凡社新書

 米国のラップナウ夫妻が集めた日本の絵はがきの個人コレクションを中心にして明治から戦中までの日本をのぞいてみた本。  私は視覚人間なのでどうも文字を中心とした歴史の話はイメージがわきづらい。ついつい視覚に頼ってしまう。その点この本の絵はがきはわかりやすい。とはいえ絵はがきを読み解くのはなかなか大変そうで解説もちゃんと読まないとなかなか…
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武田悠 「日本の原子力外交」 中公叢書

 内容は署名そのもの。著者は日米関係史の専門家。日本原子力研究開発機構核物質管理科学技術推進部博士研究員として席を置いていたことからもその記述の立ち位置がわかる。アメリカの影響と規制下、出来るだけ目立たずこっそりと日本の主要なベース電源として原子力をいつの間にか育て上げた原子力政策。隠蔽体質たっぷりで突っ込みどころ満載のその政策と表裏一…
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岩佐淳士 「王室と不敬罪」 文春新書

 タイの現代史。近くの国を少しずつ調べていこうシリーズで選んだ一冊。一昨年亡くなられたプミポン国王のカリスマ性に支えられた王制とタイ式民主主義。近年続くタクシン派と反タクシン派の確執。日本と親しい国の割にはよくわからない国タイをプミポン国王と王室を中心に読み解こうとしている本です。  既得権益を守ろうとする王室派と軍部の反タクシン派、…
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土屋健 「リアルサイズ古生物図鑑」 技術評論社

 これはおもしろい。古生物を現代の生活の中に溶け込ませて、実在感、スケール感が味わえる本。すしネタにされたり、産地直送の店頭販売したり、ホエールウォッチングならぬ船のそばでジャンプする巨大魚、犬とにらめっこしたり、いっしょに泳いだりと実に楽しい。  著者はがちがちの「古生物の黒い本」シリーズを書いた土屋健。監修も同シリーズでタッグを組…
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ローランソン/ジェミソン 「インディアンに囚われた白人女性の物語」 刀水書房

 開拓時代のアメリカの1675年と1755年ごろ、それぞれインディアンの捕虜となった二人の女性の物語。インディアン捕虜体験物語という分野に属する本はアメリカ人ならだれでも一度は読む本らしい。古くからベストセラーの二冊の翻訳。  一人は戦いながら移動を続けるインディアンに連れられて行った牧師の奥さん。かなり自由に動いているなあという印象…
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