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みんなの「書評」ブログ

タイトル 日 時
プリーモ・レーヴィ 「これが人間か」 朝日新聞出版
プリーモ・レーヴィ 「これが人間か」 朝日新聞出版  小説「天使の蝶」、アウシュビッツからイタリアまでの帰還を扱った「休戦」ときて、ようやっとアウシュビッツにたどり着いた。この順序がよかったと思う。やはりアウシュビッツはつらい。いきなりアウシュビッツはやめた方がいい。  著者の態度は序の中で、「新たに告発条項を並べるために書かれたのではない。むしろ人間の魂がいかに変化するか、冷静に研究する際の基礎資料をなすのではないかと思う」といって、淡々と時系列に語る。しかし序のそのあとで、「他人に語りたい、他人に知らせたい」という欲求にかられたというのが本... ...続きを見る

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2018/07/17 22:28
ニコラス・ワプショット 「ケインズかハイエクか」 新潮文庫
ニコラス・ワプショット 「ケインズかハイエクか」 新潮文庫  この二人の論争はかなり有名らしい。ケインズはともかくオーストリア経済学派のハイエクはまったく知らなかった。オーストリア学派までは知っていた。視点の違う二人の考えは将来、マクロ経済学とミクロ経済学、大きい政府と小さい政府と別れていく。私がこの本を読もうと思ったのはアメリカのティー・パーティー運動などの理論的背景にこの二人の絡みがあるというので読んでみた。  なんといってもハイライトは前半のふたりの論争を扱った部分だ。しかしここは少し予備知識がないと読むのが厳しい。私はケインズ派のサムエルソンと... ...続きを見る

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2018/07/14 14:27
宮川裕章 「フランス現代史 隠された記憶」 ちくま新書
宮川裕章 「フランス現代史 隠された記憶」 ちくま新書  歴史書というよりフランス特派員による取材レポートというかんじ。大戦以降の問題でフランス人が触れたがらない話や事件で現代のフランス人のアイデンティティに関わることを追及している。現在も生存されている方々も取材している。フランスからの報道を聞くとき、もう少し読み解き出来るようになるかも。 ...続きを見る

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2018/07/05 20:57
プリーモ・レーヴィ 「休戦」 岩波文庫
プリーモ・レーヴィ 「休戦」 岩波文庫  著者の小説「天使の蝶」を読んで変な作家だなあと思って、小説とは違う著者の半身、アウシュビッツの本を読んでみようと思った。しかしさすがにアウシュビッツはヘビーなので、著者がアウシュビッツから生き延びて故郷のイタリアに帰りつく帰還を扱った「休戦」を先に読んでみた。  とにかくアウシュビッツを出たらイタリアのある西ではなく東に連れて行かれてしまった。解放されて、被害者である自分たちは妥当な扱いを受けられると思っていたら、数か所の収容所を転々と移され何年も過ごすことになる。その日々の中でいろいろな人... ...続きを見る

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2018/07/02 11:03
ベアトリス・フォンタネル 「ドレスの下の歴史」 原書房
ベアトリス・フォンタネル 「ドレスの下の歴史」 原書房  視点が違った。この本の著者は体の内側から、肉体側から下着を見ている。私はもっと単純に「The 下着」で具体的なものを期待していた。出来れば型紙がほしいぐらいだ。この辺はネットで注文して本屋で確認しなかったので致し方ない。副題に「女性の衣装と身体の2000年」とあるように男性の下着はない。張り子や工場労働者の女性の下着の話もほとんどない。コルセットと胸開けの話が中心に回っている本です。逆に言えば著者のような視点の歴史本を求めている人には適当によくまとまっていると思います。 ...続きを見る

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2018/06/28 11:51
プリーモ・レーヴィ 「天使の蝶」 光文社古典新訳文庫
プリーモ・レーヴィ 「天使の蝶」 光文社古典新訳文庫  この作者のことは何も知らなかった。小説のこととなると無知だ。系統だって読もうという気はあるが体力と時間がない。なんとなくふらふらと惹かれて買ってしまった。  変な作家だ。嘘か真かわからん話が書かれている。奇妙譚とでもいうのかしら。人は死に邪魔されて天使に変態できないでいるとか。人の経験を再体験する装置の話などはよくあるけれど、その体験を執拗に描写したりとか。どこかこだわりのある文章です。嫌いではない。買って損したとは思わないので読んでみるといい。 ...続きを見る

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2018/06/24 09:53
フロリアン・カジョリ 「初等数学史」 ちくま学芸文庫
フロリアン・カジョリ 「初等数学史」 ちくま学芸文庫  数学史の本としては1896年の発行でかなり旧い(改訂は1916年)。しかし大抵の数学史の本が現代的な代数表記でその時代の内容を伝えて終わってしまっているのに、その当時の表記とともに具体的な演算、特にその演算手順まで載せているという特徴がある。訳者注も影響されてか詳しい。これはとてもうれしい。古代・中世篇と近世の前半までなかなかよい。近世の後半は欧米の初等教育の歴史に近い内容でさすがに内容が旧い。しかし逆に細かい当時の欧米数学教育史を知りたいのならいいかもしれない。文庫版あとがきによい文献案内が... ...続きを見る

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2018/06/21 13:53
田辺聖子 「古川柳おちぼひろい」 講談社文庫
田辺聖子 「古川柳おちぼひろい」 講談社文庫  映像関係には多少強いと思うのだが、言葉や音が絡むものは小さいときからどうも縁がない。詩とかになるともうダメです。それでも人間、あがくものでぽつりぽつりとそれらしきものに手を出しています。そこでまあ川柳ぐらいならと読んでみたのがこの本。選者が好きで選んだ句が解説付きで載っているので私でも楽しめた。選者自身が楽しみながら句を集めていることいがい特に特徴はありませんが、やはりそこがいいところですな。 ...続きを見る

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2018/06/14 08:02
ジョージ・オーウェル 「カタロニア讃歌」 岩波文庫
ジョージ・オーウェル 「カタロニア讃歌」 岩波文庫  「カタロニア讃歌」、おー有名なタイトルだなあと買ってみた。迂闊にもスペイン市民戦争下の話だと知らなかった。ソ連共産党下の影響で民兵組織が解体されていく過程の話は、ソビエト社会主義、中国共産主義、というよりソ連共産党、中国共産党の幻影を信じ込まされていた世代としては身につまされる内容だった。最後にジョージ・オーウェル、おー、「1984」の作者じゃないかと気がつく失態を演じて本を読み終えた。 ...続きを見る

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2018/06/06 03:51
佐藤克文・森阪匡道 「サボり上手な動物たち」 岩波書店
佐藤克文・森阪匡道 「サボり上手な動物たち」 岩波書店  岩波科学ライブラリー・シリーズの一冊。タイトルに惹かれて買った一冊。海の動物に種々の観測装置を取り付けて動物たちの日常的な動きを追いかけた記録。もともとは最長潜水時間や最大深度を計ろうとしたのだけれど、無駄なことはしないという予想外な行動パターンを発見したという話。なかなかわからない動物たちの海の中での生活というのが垣間見れる貴重な一冊。 ...続きを見る

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2018/06/02 22:04
中村士 「東洋天文学史」 丸善
中村士 「東洋天文学史」 丸善  マイケル・ホスキンの「西洋天文学史」の翻訳者がこの本の姉妹本として出した本。前著のような比較的詳しい理論的な説明はほとんどない。後半の日本の天文史はほとんど人物史に近い。しかし前半のインド、中国、韓国、東南アジアの天文学の紹介を含め東方アジアの天文学史はめずらしくそれなりに読みごたえがある。著者の目論見通り「西洋天文学史」と合わせて読むことをお勧めする。 ...続きを見る

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2018/05/31 09:51
マイケル・ホスキン 「西洋天文学史」 丸善
マイケル・ホスキン 「西洋天文学史」 丸善  この本はオックスフォード大学出版局のA Very Short Introductionシリーズの一冊。シリーズ名通り実に薄い本だが内容はよくまとまっていて意外と濃い。入門書レベルでプトレマイオス(トレミー)のエカント点のちゃんとした説明をこの本以外で読んだことはない。エカント点は離心円の反対側の点で、円周上の点と二つの点を結ぶと常に線分の長さが一定になるという楕円と同じ性質を持つ点。要するに観測データとなるべくよく一致するするように考えられたもの。天文の本を読んでいるとコペルニクスのモデルの理... ...続きを見る

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2018/05/31 09:40
リチャード・ベッセル 「ナチスの戦争 1918-1949」 中公新書
リチャード・ベッセル 「ナチスの戦争 1918-1949」 中公新書  ナチスの生まれる背景として第一次世界大戦でのドイツの敗戦から始まって、ヒトラーの自殺以降のドイツでのナチズムの扱われかたまでを対象に、人種という観点で考察している書。  歴史的な経緯を追いかける書を読んでいるとどうも実感がわかない。しかし最初にヒトラーの「我が闘争」を読んでいたのでヒトラーの考え方と肉声が聞こえてきてなるほどと思えることが多かった。なのでナチズムの本を読む方には最初に「我が闘争」を読むことをお勧めする。特にヒトラーが戦争そのものが目的であって最後まで降伏せずに自殺したことなど... ...続きを見る

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2018/05/24 08:09
ジョージ・G・スピーロ 「ケプラー予想」 新潮社
ジョージ・G・スピーロ 「ケプラー予想」 新潮社  数学界の難問中の難問のひとつ、ケプラーの「一個の球のまわりに十二個の球を配置したものは、可能なかぎりもっとも稠密な充填方法である」という予想がようやっと証明された顛末が書かれた本。なにせ400年も完全証明にかかったので話は長い。証明の仕方も長い。あんまりに手間のかかる証明なのでコンピュータの手助けを借りたぐらいだ。これが大問題になったいわく付きの証明だ。解説の方もあんまりに長いのでかなり証明部分をはしょってある。もちろん話の筋道はわかる程度にはしょっている。わたしもあまり長いのでほったらかしに... ...続きを見る

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2018/05/21 07:26
山口恒夫 監修 「昆虫はスーパー脳」 技術評論社
山口恒夫 監修 「昆虫はスーパー脳」 技術評論社  これはなかなか面白い。昔昆虫の話というと動物行動学的な、つまり観察が主の話が多かったのだけれども、ここでの話は神経を実験的に扱っていてかなりの神経ネットワークのことがわかってきたことがわかる。実際の研究は発表年代を見ると昔からこつこつと研究されていたことが分かるが、やはり実験装置、観測機器、生化学的な分析や遺伝情報、遺伝操作の手法の確立などの最近の急激な発展の成果が現れている。話は昆虫では少ない神経細胞とニューロンで分節、特化して分散型処理がされているという点を中心に8人の研究者が段階的に解説... ...続きを見る

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2018/05/16 14:31
クローカー編 「グリムが案内するケルトの妖精たちの世界」 草思社
クローカー編 「グリムが案内するケルトの妖精たちの世界」 草思社  南アイルランド生まれのトマス・C・クローカーが若いときに南アイルランドをまわって集めた話などをまとめて1825年に出した「南アイルランドの妖精物語と伝説」が原本。邦題のタイトルがややこしいけれど、内容はこの本を翻訳したもの。グリム兄弟の名がでてくるのは、原本の本が気に入った兄弟がドイツ語にすぐ翻訳してドイツで出版したのだが、その際収集した話にない追加したような部分を削除して、さらにかなりの解説文を追加した。日本語の翻訳ではグリム兄弟の意図に沿った原本から翻訳をして、解説や注の類を整理して、グリ... ...続きを見る

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2018/05/11 22:12
ロナルド・タカキ 「パウ・ハナ」 刀水書房
 明治からハワイにかなりの日本人移民や出稼ぎ労働者が行っていたことはしっていた。ハワイがアメリカ州になる前に白人農場主などが中心になってハワイ王制を廃絶させていたことも知っていた。でもハワイの実態がどういうものだったかは知らない。この本は副題が「ハワイ移民の社会史」とあるように大型砂糖キビ・プランテーションでの日本人労働者を中心に世界中から集められた移民労働者の歴史と労働状況が日系移民三世によって記録されている。  常夏の夢の島として言われて一山当てようと出かけていった先が実は一種の近代的奴隷... ...続きを見る

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2018/05/09 15:40
桜井俊彰 「物語ウェールズ抗戦史」 集英社新書
桜井俊彰 「物語ウェールズ抗戦史」 集英社新書  イギリスが三つに分かれているのは知っていた。北アイルランドは扱いがちょっと難しいので除いて、スコットランド、ウェールズ、イングランド、いつも仲が悪いなあと見ていた。しかし一体どうなっているの、ということで買ってみた本。  ブリテン島はケルト系、アングロ・サクソン、フランス系と入り乱れている。フランス系は同じケルト系がいたフランスのガリア人との関係が深い。この本はもともとのブリトン人であるウェールズの、アングロ・サクソンのイングランドに対する抵抗史という内容だ。副題も「ケルトの民とアーサー王伝... ...続きを見る

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2018/05/06 10:26
柏原宏紀 「明治の技術官僚」 中公新書
柏原宏紀 「明治の技術官僚」 中公新書  副題「近代日本をつくった長州五傑」にある通り長州から密航してイギリスに渡った5人、伊藤博文、井上馨、井上勝、山尾庸三、遠藤謹助等を明治を形作った技術官僚として見てその一生を追いかけた著書。  現代から見るとき明治という時代は現在を形作った大きな節目だけれども、その最初のころの模索している時代はどうだったかというのはなかなか興味深いので目につくと買っている。この本もその一冊。この当時の大学などの教育体制を作るときの御雇外国人のはなしや国学者たちとの対立などの本も七転八倒で面白いが、この本を読ん... ...続きを見る

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2018/05/05 04:55
チャンネル4 「マナーハウス」
チャンネル4 「マナーハウス」  とうとう我慢できずに買ってしまった。好きな人にはたまらないこのDVD。英国エドワード時代の新興貴族の実際の生活を映像化したドキュメントTV。絵描きとかその手の詳細に興味のある人は写真や絵ではわからない下着や着付け、その他詳細が実際に動いているというのは貴重でしょうがない。ましてや生活の細部となると興味津々。うーん、おもしろい。  1905年から1914年を3ヶ月に圧縮して展開して、一般の人が貴族、執事、メイドその他を演じて同居して暮らす企画。どこまでがTV側の脚色でどこまでが自然発生的に起こ... ...続きを見る

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2018/04/30 01:55
ポール・クローデル 「孤独な帝国 日本の一九二〇年代」 草思社文庫
ポール・クローデル 「孤独な帝国 日本の一九二〇年代」 草思社文庫  在日フランス大使としての外交書簡を1921年から1927年までまとめたもの。執筆者は日仏会館の創設に尽力した主要人物として有名。  外交文書なので当然のことながらフランスの国益を優先した発言が多いのだが、大変日本に親近感を持っていることもあってかなかなかよく日本を観察した内容が多い。大正の日本の政治などを直に側面からみているようだと思うと内容に近い。フランスと日本は直接の利害の対立が少ないので機会あるごとに両国を接近させようともしている。在任中に関東大震災を経験した叙述など意外や意外なかなか... ...続きを見る

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2018/04/29 15:33
宮部みゆき 「ICO」 講談社
宮部みゆき 「ICO」 講談社  PS2用ゲーム「ICO」をノベライズした小説。「ブレイブ・ストーリー」を読んだので積読本の奥から引っ張り出して読んでみた。個人的には「ブレイブ・ストーリー」よりこちらの小説の方が好きです。何といっても作者も私もICOのファンだからです。  ゲームの方は表面上単純でただ手をつないで二人で逃げるというだけ。しかしその耽美的でうつくしい、おそらくだいぶ練りこんで作られているだろう映像の世界観がいいのですね。しかし見かけはとても単純。それをよくまあここまで膨らませているなと感心する。ちゃんとゲームの... ...続きを見る

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2018/04/26 11:15
オストヴルト 「エネルギー」 岩波文庫
オストヴルト 「エネルギー」 岩波文庫  エネルギーという考え方の歴史を知りたいと思って買った本。著者はノーベル賞を取った物理化学者。数式は使っていないので当時としても啓蒙書として書かれたのだと思う。熱力学の第一、第二法則が頭の隅に残っていないとちょっときついかもしれませんがとてもやさしく書かれています。エネルギーをあまりにも一般化しようとするあまり後段になって神経エネルギーなどに言及するようになるとおやおやと思いますが、それはそれで発行された1912年あたりの雰囲気がわかって面白いです。 ...続きを見る

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2018/04/20 12:54
宮部みゆき 「ブレイブ・ストーリー」 角川文庫
宮部みゆき 「ブレイブ・ストーリー」 角川文庫  この本の四分の一ぐらいを使って解説的すぎるぐらいに細かく以降の伏線のための説明が続きます。この部分の好き嫌いで評価が決まるかもしれません。しかしその甲斐あって以降は話がスムーズに快調に進みます。ほとんど一気に読めます。  実はアニメの方を先に見ています。アニメの方も映写時間の関係もあって上記の解説的な部分の扱いには神経を使っているようです。その他原作のトーンとは違う微妙な変更を行っています。そのアニメの方の出来はというと、主人公に野球のヘルメットのようなものをかぶせた時点で運命が決まりました... ...続きを見る

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2018/04/17 03:19
ジュール・ヴェルヌ 「月世界へ行く」 創元SF文庫
ジュール・ヴェルヌ 「月世界へ行く」 創元SF文庫  いつか読もうと思っていて本屋で見つけたのでつい買ってしまった。もっとファンタジックな作品かと思ったらがちがちにまじめな小説だった。今日から見ると大砲から砲弾型宇宙船をぶっ放すといういささか乱暴なやり方で発射された後は月に衝突着陸を目指すが偶然に幸いしてか月を周回して地球に帰ってくる。その間の砲弾の窓からの景色だけで一冊の本を仕上げたというとんでもない本だ。今読んでもすごいと思うのだから当時読んだ人はわくわくして面白かっただろう。ぜひ一度読みましょう。 ...続きを見る

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2018/04/12 06:58
土屋健 「デボン紀の生物」 技術評論社
土屋健 「デボン紀の生物」 技術評論社  生物ミステリーPROの3冊目。陸への上陸を開始しようとする生き物たちの歴史の始まりを中心に書かれている。  このシリーズ全体が理論的な追及をする本というより古生代を紹介するという雰囲気の本なので解説はいつものとおりあっさりしている。しかし写真は撮影しなおしたり、いろいろなところから集めたりしてなかなか良いものがある。まずは本屋さんで中身を見てから気に入ったら買いましょう。 ...続きを見る

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2018/03/30 04:12
土屋健 「オルドビス紀・シルル紀の生物」 技術評論社
土屋健 「オルドビス紀・シルル紀の生物」 技術評論社  生物ミステリーPROシリーズの第2巻目です。各巻には大陸移動中のその時期の大陸の配置図が載っているので意外とこれが便利です。  この時期は化石が少ないらしく解説があっさりしてますが、三葉虫はごまんと出るらしく、なかなかよい写真が載っています。立体的に見える位置からの写真も多くいかにも解説用という感じでないものも多いので、立ち読みで確認してよかったら買ってみてください。 ...続きを見る

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2018/03/27 11:15
土屋健 「エディアカラ紀・カンブリア紀の生物」 技術評論社
土屋健 「エディアカラ紀・カンブリア紀の生物」 技術評論社  ブルーバックスの「古生物たちのふしぎな世界」を読んでからもう少し詳しい本を探して買った本。家に持って帰ったら同じ著者だった。  生物ミステリーPROというシリーズ全6巻の最初の巻。全6巻で「古生物たちのふしぎな世界」と同じ古生代全体を扱っている。ほぼ構成も内容も「古生物たちのふしぎな世界」と同じで、「古生物たちのふしぎな世界」がこのシリーズから4年たっているのでこのシリーズの簡約版でその間の新しい知見を追加したものという感じ。  さすが全6巻でページ数があるので化石の写真は豊富です。復元図... ...続きを見る

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2018/03/25 18:26
河合敦 「殿様は「明治」をどう生きたのか」 洋泉社歴史新書
河合敦 「殿様は「明治」をどう生きたのか」 洋泉社歴史新書  廃藩置県で領地というものを失った藩主たちの廃藩置県前後を扱った本。全体に素行のよろしい殿様を選んでいる。世の中には悪党もいるので悪逆非道のその後の殿様というのがあっても面白いかもしれない。着目点はいいのでもう一押し。  角川新書の「幕末三百藩 古写真で見る最後の姫君たち」たちの写真と解説を読むとオーバーラップするところがあっておもしろい。 ...続きを見る

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2018/03/22 12:48
土屋健 「古生物たちのふしぎな世界」 ブルーバックス
土屋健 「古生物たちのふしぎな世界」 ブルーバックス  恐竜たちの中生代以降の新しい時代を除いた古生代を中心に先カンブリア時代のエディアカラ紀から扱っている。  なんといっても図版と写真の化石たちがいい。わたしのガキの頃の図鑑といったらボール紙のような紙にひどい色と粗い網版のカラー本で内容といったら恐竜と三葉虫にアンモナイトばかりだった。うんざりで興味が持てなかった。それが詳しくとてもきれいになった。インクジェットに押された影響か最近のカラー本は良いものが多い。それでもオフセット印刷の宿命か、色を重ね刷りしなければならないので緻密さにはまだまだ物... ...続きを見る

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2018/03/20 03:32
池上英洋 荒井咲紀 「美少女美術史」 ちくま学芸文庫
池上英洋 荒井咲紀 「美少女美術史」 ちくま学芸文庫  個人的には美少女趣味はないのだけれども別のことを調べていて読んでみた。この本で主張されている通り、確かに美少年というのは古代のギリシアの男色のごとく古くからあるけれど、美少女以前の子供という意味での女の子が意識されるのは近世、近代から、特に産業革命以降の核家族化のあとからなのだろう。美少女といったらたしかに現代に近くならないとジャンルとしてはまったくない。この点がこの本を読んでいて面白いところ。  大変よくまとまっていて絵画もなかなかよく選択されています。個人的には現代に近い写真が出来てから... ...続きを見る

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2018/03/18 10:11
萱野茂 「アイヌ歳時記」 ちくま学芸文庫
萱野茂 「アイヌ歳時記」 ちくま学芸文庫  タイトル通りアイヌの日々の生活を綴った本。  読んでいるとアイヌの神はとっても身近にいるのがわかる。クマの神だったり大きな虫だったり、便所の神までいる。なんと役に立たない神は丁寧に神々の世界に帰っていただいたりしている。それに比して月、太陽、雨や風などは自分たちの力の及ばない神として祭祀は行わないという。ここの辺がおもしろい。 ...続きを見る

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2018/03/11 13:17
石橋孝夫 「世界の大艦巨砲」 光人社NF文庫
石橋孝夫 「世界の大艦巨砲」 光人社NF文庫  副題に「八八艦隊平賀デザインと列強の計画案」とあるが、こちらの方が本の内容に近い。軍縮のワシントン条約によって中止となった八八艦隊の主要デザイナーである平賀の保持していた資料を中心に世界の戦艦の歴史を扱った本。雑誌「丸」に連載した内容をまとめたもので、著者は雑誌「シーパワー」の元編集長。   一ノ瀬が「飛行機の戦争 1914-1945」で大艦巨砲主義に批判的であったのでそれでは大艦巨砲主義とは何かと思って買った本。読んでみたらとても一般解説書として読む本ではなかった。デザインされたものや実際... ...続きを見る

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2018/03/07 09:23
東京電力福島原子力発電所事故調査員会 「国会事故調報告書」
東京電力福島原子力発電所事故調査員会 「国会事故調報告書」  事故からだいぶたってしまったが、事故の第一報を見たときの感想は「やはり起きた」だったと思う。  本書は東電、政府の事故調査報告が発表された後に不十分とはいえようやっとまともな報告書が出たと評された本である。  内容は原子力ムラのような原子力行政や施策一般は除外して、原子力事故に直接かかわる範囲を調査対象にしている。事業者と行政の癒着や問題の隠ぺい、そもそも予測外の想定自体をしていないことによる事故の発生と事故時の対応の問題、事故後の対応の問題等を述べられている。個人的にはチェルノブイリ以降... ...続きを見る

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2018/03/05 13:19
磯田道史 「江戸の家計簿」 宝島社新書
磯田道史 「江戸の家計簿」 宝島社新書  別冊宝島から新書化した本。数人で執筆している監修本。江戸時代の給与である石高や生活の日々の物品、食品、料金等を網羅的に現代の貨幣価値に換算しなおして紹介している本。現在の貨幣価値への換算率が高すぎるように思えたり、現代の絵師が描く食物の絵には、これは現代的すぎるだろうと疑いたくなるようなものもあるが、全体に軽い読み物なので気にせず読むのがよいかと思う。 ...続きを見る

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2018/02/23 20:44
金時鐘 「朝鮮と日本に生きる」 岩波新書
金時鐘 「朝鮮と日本に生きる」 岩波新書  済州島で皇国臣民として教育を受け、「解放」後は米軍政に追われ日本に流れ着き、在日朝鮮人として生きる中、多くの人を信じた北に殺されるという数奇な人生を歩んだ詩人の自伝。日本人としてはかなり複雑な気持ちで読まされる本ですが、朝鮮人の微妙な立場と心理を少しでも理解するのにはぜひ読んでほしい一冊。 ...続きを見る

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2018/02/23 20:29
司馬遼太郎 「韓のくに紀行」 朝日文庫
司馬遼太郎 「韓のくに紀行」 朝日文庫  この人は実にいいかげんだ。旅行社の人にプランはと聞かれると、農村に行きたいという。漠然としている。それではだめだと諭されると、地図を広げて、じゃこことこことここ、といって適当に思いつくまま指示する。それで一冊の本が出来上る。なぜじゃ。実際は行き当たりばったりなのに読むとなぜかつながっているように思える。実に不思議な本だ。 ...続きを見る

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2018/02/23 20:05
司馬遼太郎 「街道をゆく1 湖西のみち、甲州街道、長州路ほか」 朝日文庫
司馬遼太郎 「街道をゆく1 湖西のみち、甲州街道、長州路ほか」 朝日文庫  この人は怠け者だ。歩かない。車に乗って移動する。湖西を湖南に向って走っていく。そしてピンポイントで降りて話が進む。ところが知識の量が違う。漁港に降りれば、石組みを見ていい古代の石工の技術だとのたまう。古代史にはよくわからないことが多いので言ったもの勝ちだと言う。後は聞く者のイメージをどれだけ広げられるかだという。それだけで一冊の本が出来上った。  かたや私はというと、湖東から水口、草津と湖南を車イスで走ります。場所場所のいわれなどとんとわからず、ホテルはあるか、あと何キロや、トイレはどこじゃ... ...続きを見る

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2018/02/23 19:50
シェイクスピア 「リア王」 光文社古典新訳文庫
シェイクスピア 「リア王」 光文社古典新訳文庫  最終的に動くものに変換されるもの、劇、ドラマ、アニメなどは演出を経て初めてその真価が発揮される。途中の脚本などを読んでいるとこれがどうなるのだろうとピンとこない事がある。それでも脚本は核だ。  この本は悲劇にまっしぐらだ。シェイクスピアとしてはとても直線的に話が進んでいると思う。  訳も実際の上演に耐えた訳がもとになっているだけあって気取りがなく大変読みやすい。ぜひ読まれることをお勧めする。 ...続きを見る

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2018/02/04 04:29
カエサル 「ガリア戦記」 岩波文庫
カエサル 「ガリア戦記」 岩波文庫  塩野七生の「ローマ人の物語」を読んで興味を持ったので原本を買ってみた。現在のフランス・スペイン当たりのガリアのローマ化の歴史。とても簡潔でおもしろい。ただ当時の人の常識部分まで簡潔でつい読み飛ばしてしまいそう。例えば戦場でのローマ人の土木工事の堅牢さと製造の速さなどは予備知識としてないとなぜ戦争に勝てたかなどの理解がしづらい。  読んでいると、アレクサンドロスが度真面目っぽい感じがするのに対してかなり粋な感じがする。かなりもてたようだ。ハリウッド映画の描く人物像に毒されている頭にはかなり違う... ...続きを見る

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2018/01/28 08:43
D・チャモヴィッツ 「植物はそこまで知っている」 河出文庫
D・チャモヴィッツ 「植物はそこまで知っている」 河出文庫  擬人化を極力避け、動物の五感との比較を植物に当てはめてみる試みをしている。あまり専門的にならない範囲で実証可能であることに心がけている。面白いのは記憶というテーマの中でエピジェネティクスが関与する「世代間継承」という話だ。遺伝的変異があるなしに関わらず情報あるいは信号を世代間で受け渡すということが検証されたという。これは若いころ教え込まれた遺伝の考え方とまったく違う異質な話だ。興味のある方はぜひ読まれたい。やさしく書かれている。 ...続きを見る

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2018/01/18 23:59
ボンテンペッリ 「鏡の前のチェス盤」 光文社古典新訳文庫
ボンテンペッリ 「鏡の前のチェス盤」 光文社古典新訳文庫  オビに「萩尾望都さん推薦」「イタリア幻想文学の名作発見」なんて書いてある宣伝文句に釣られてしまった。特にむずかしいところはない。イメージの湧きやすい作品。アニメ化すると面白そうな世界です。特に評論しようとするとむずかしくなります。単純にこういう世界が好きか嫌いで評価が分かれます。私は嫌いじゃない。 ...続きを見る

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2018/01/18 18:04
マテュー・グネル 「隕石」 文庫クセジュ
マテュー・グネル 「隕石」 文庫クセジュ  本棚の本をぺらぺらめくっていたら、文庫クセジュのくせに図表がいっぱいある。こんな不届きな本は買わなければいけないと言って買った本。  いくらいっぱい載っているといったってたかが文庫クセジュだ。他の類書から比べたら圧倒的に少ない。著者も写真などいれるのに相当苦労したようでぼやいている。その分文章や内容は工夫されていて、うまく隕石小史としてまとめられている。隕石は太陽系形成の直接証拠として重要で、そのための年代測定などについてもきちんと押さえてある。日本は世界有数の隕石研究国なので名著も多いけれ... ...続きを見る

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2018/01/11 22:42
辻田真佐憲 「文部省の研究」 文芸新書
辻田真佐憲 「文部省の研究」 文芸新書  タイトル通り、文部省が教育によって形成しようとした人間像とはどういうものかを明治から現代まで追いかけている。著者は国家が教育行政を行う以上具体的な人間像を求めるのは当然という立場だが、教育は自治体が行うなど別の考えもあることはこの本では対象外だ。同様に大学行政も対象から外している。初等中等教育、社会教育が対象だ。明治初期の教育行政や大学の話は面白い話が多いのだけれども簡単に書かれている。戦争が近づくと怪しくなるのはいつもの通り。戦後の話が長い。  著者は文部省と反対勢力は理念で反対しあってば... ...続きを見る

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2018/01/07 08:30
川島博之 「戸籍アパルトヘイト国家・中国の崩壊」 講談社+α新書
川島博之 「戸籍アパルトヘイト国家・中国の崩壊」 講談社+α新書  現在の中国にはいまだ農民戸籍と都市戸籍のような身分制があって中国が抱える爆弾のようなものとしてこれを中心に論評している。実際には中国の古い歴史まで持ちだして絡めていろいろな話題について論評しているので事の真偽は判定しづらい。  ちょっと記憶で話していますが、1917年のロシア革命以降のソ連でも都市労働者と農民を分ける登録制度が存在して、収容所やソフホーズ、コルホーズなどの編成に影響するような差別的扱いがあったと記憶しています。世界を代表するような二つの共産党でその扱いに苦慮するような難しい同... ...続きを見る

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2018/01/01 20:56
石野裕子 「物語 フィンランドの歴史」 中公新書
石野裕子 「物語 フィンランドの歴史」 中公新書  物語シリーズの一冊。私の友人が「北欧はヨーロッパの未来だ」といったことがある。以来北欧には注意を払ってきた。しかしフィンランドはわかりづらい。周りの国に翻弄され現実主義に徹してきたからだろうとは思う。この本を読んでもよくわからない。わからないというのが逆に実体を表わしているのかもしれない。  フィンランドの政治史を中心に描かれている。政治史を扱っている本としてはたいへん読みやすいと思う。このわかりづらさに興味がある方にはお勧めできる。 ...続きを見る

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2017/12/30 23:12
アドルフ・ヒトラー 「我が闘争」 角川文庫
アドルフ・ヒトラー 「我が闘争」 角川文庫  たしかこの本はドイツでは発禁だったと思う。内容は単純、アーリア・ゲルマン民族の優越性を主張し、すべての問題の元凶をユダヤ民族に押し付けることだけ。この本の中でも言っているとおり、やるべきことはいくつかのわかりやすいことを徹底的に繰り返し宣伝しアジテートする事のみ。理屈は選択的に優秀なもののみに伝え、大衆には理解能力が足りないのでエッセンスのみをとにかく切り返し伝え扇動する。この本自体がその見本のように同じことを繰り返し伝えている。うーん、どうにも最初に読むべき歴史的文書ではないですね。 ...続きを見る

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2017/12/28 18:07
歴史読本編集部 「幕末三百藩 古写真で見る最後の姫君たち」 角川新書
歴史読本編集部 「幕末三百藩 古写真で見る最後の姫君たち」 角川新書  タイトル通りの内容です。九人ほどの執筆者が解説していますが、編集部編となっているように特に本全体のストーリーはありません。写真の人の系譜が主な内容で、あくまで写真を見るための本です。ほとんどピシッとした人たちが写っています。歴史や習俗に詳しくない私は勝手に眺めていました。全体に肩がなで肩で下がっている女性の多いのが目立ったのですが、現在の女性には肩の張った人も多く、やはり運動量の差かと思ったり、現代の着物の着付けはきっちりパンパンという印象を持つのですが、写真ではもうちょっとずるっと下がってい... ...続きを見る

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2017/11/03 14:37
藤原辰史 「トラクターの世界史」 中公新書
藤原辰史 「トラクターの世界史」 中公新書  この本はおもしろい。自動車好き、農業に興味のある方、トラクターが戦車に転用されたことから軍事に興味のある方など色々な方が楽しめるでしょう。トラクターそのものや農機具などの技術の解説としては弱い。トラクターの社会史という感じだろうか。蒸気機関のころから開発が始まり、農業の機械化、大規模化を夢み、東西両陣営で利用が進み、日本では小型トラクター、歩行式トラクターとして普及し、現在世界のトラクター市場のトップを走っている。一方、深く耕作したり、化学肥料とパックでトラクターの導入が進み、世界の砂漠化の一... ...続きを見る

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2017/10/24 00:31
一ノ瀬俊也 「飛行機の戦争 1914-1945」 講談社現代新書
一ノ瀬俊也 「飛行機の戦争 1914-1945」 講談社現代新書  日本が戦争に負けた理由のなかで、大艦巨砲主義、精神主義や軍部の一方的な押し付けなどが言われるなか、「制空権下の艦隊決戦」のキーワードが示すような飛行機優位の「軍事リテラシー」の普及や飛行機献納運動のようなある程度自発的な戦争協力など必ずしも現在言われているような状況と当時の事情の違いなどを指摘している。また日米双方で似たような艦隊運用の考え方をしている点など興味深い。ただしこの本は状況の分析をしている本であって日本が負けた理由を説明していいる本ではない。日本が負けた方が良かった、勝った方が良か... ...続きを見る

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2017/10/19 09:08
五十嵐浩司 「ロボットアニメ ビジネス進化論」 光文社新書
 ロボットアニメを中心とした玩具・模型メーカーなどがタイアップしたロボット商品、その他のマーチャンダイジング・ビジネスの歴史を扱った本。実は私はブリキの鉄人28号世代なのでこの手の世界にはうとい。しかしマクロスのバルキリーが出た時だけはぶっとんだ。あのクオリティーで変形するのには参った。危うくあちらの世界にどっぷり浸かってしまうところだったが、なんとか逃げのびた。お金がいくらあっても足りなくなる。  この本は正直この世界に興味がない人には退屈極まりない本だ。ひたすらロボットのおもちゃ、模型など... ...続きを見る

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2017/10/10 22:52
ヘレン・レイノルズ 「ビジュアルでわかる世界ファッションの歴史 下着」 ほるぷ出版
 絵を描く者にとって難問は下着だ。まず日常生活を描くのに下着の知識は必須だ。特に古い時代になればなるほど困る。あるいは、例えばスカートのようなものを着る者を下のアングルから書きたいとする。まさかどの時代の人もパンティはかせるわけにはいかない。薄暗く誤魔化して書くというのは絵描きのプライドをくすぐる。絵画や映画を見ているとついつい下着に目がいってしまう。というわけで、ふと思い出してアマゾンで3冊ほど下着の本を注文してみた。  最初に到着した一冊がこの本。見てすぐしまったと思った。値段は結構するの... ...続きを見る

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2017/09/04 18:52
カール・マルクス 「哲学の貧困」 国民文庫
 誰かを批判することを主眼とした本への判断はなるべく相手の本を読んでからするようにしている。「哲学の貧困」で批判しているプルードン君の「貧困の哲学」を読んだので、40年以上前に読んだ古い本を引っ張り出して読み直してみた。経済学上の記述を細かく判断するのは難しいけれど、プルードン君の自慢たっぷりでもったいぶっている割には結論が常に曖昧な文章に比べて、マルクスの圧倒的によく調べ上げて理路整然とした内容とでは格の違いが歴然としている。  プルードン君の論理学の記述は本当に勉強したことあるのと言いたく... ...続きを見る

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2017/08/25 10:49
ピエール・ジョゼフ・プルードン 「貧困の哲学」 平凡社ライブラリー
 帯に「マルクスが嫉妬した伝説の書、本邦初訳」とあった。私が知っているマルクスのプルードン批判の書「哲学の貧困」ではプルードン君はけちょんけちょんのはずだ。これは読んでみるっきゃない。1200ページ近い、もったいぶった文章を読んだ。まったくけちょんけちょんの方が正しい。マルクスはこういう内容の人は大嫌いのはずだ。最後まで我慢して読んだのに。思わず叫んでしまった、嘘つき〜〜。  書評を書く場合は何かひとつ以上良いところが見つかったら書くようにしている。文句ばかりの文章を読んでも読む方も面白くない... ...続きを見る

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2017/08/25 09:45
笹原宏之 「謎の漢字」 中公新書
 副題「由来と変遷を調べてみれば」が本の内容を示している。JIS漢字、歌舞伎のエビの文字の変遷、科挙と字体の謎の三部構成になっている。コンピュータで7ビット以下の英字大文字しか使えない時代からJISコード単漢字変換、ユニコードと見て使ってきた人間としては、JIS漢字に「国土行政区画総覧」という地名に関する行政文書から多くの漢字を取り入れたという話は大変面白かった。実際の基準策定過程がうかがえて興味深い。残りの三分の二は漢字の調査、考証が主でかなり細かい。しかし読むのをいとわなければこれもなかなか... ...続きを見る

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2017/08/20 22:09
車浮代 「春画入門」 文春新書
 タイトルに惹かれてついつい手に取ってみてしまった。開いてみるとカラー印刷で浮世絵の多色刷りを版木ごとに順番に解説している。そしていろいろな摺り技法まで解説している超度真面目エロ本解説本だった。残念ながら彫りの技法や、肉筆画、下絵などの線画の技法の記述は少ない。ともかくすぐキャッシャーに向かった。  しかしながらちょっと前なら発禁物の浮世絵春画のオンパレード。あの局部拡大物。酷ければお縄ものだ。それが新書で誰でも見れる、読める。まったく時代に追い越されていく感じだ。 ...続きを見る

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2017/08/08 21:31
神野直彦 「財政のしくみがわかる本」 岩波ジュニア新書
 本屋で財政の本をさらに探してうろうろしていたときに見つけた一冊。子供向けと侮るなかれ。専門度が上がるとそれはもう知っていて当然と説明が省略されることが多くなるが、この本はそんなことはない。もれなくひとつひとつ考え方をわかりやすく解説しながら進む。しかも内容に手心を加えていない。入門書のお手本のような本。著者の心意気も伝わってくる。もし財政の本を探していらっしゃる方がいたらまず最初にこの本を読むことをお勧めする。 ...続きを見る

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2017/08/02 19:40
草光俊雄 「アフリカ世界の歴史と文化」 放送大学教育振興会
 日本では情報の少ない地域の本をできるだけ読もうとして選んでいるうちの一冊。副題に「ヨーロッパ世界との関わり」とあるように4人の共著者のうち二人がアフリカ史、アフリカ経済史が専攻で、二人がフランス文化史、イギリス社会経済史が専攻。最近はアフリカ人自身による歴史の記述も増えているのでなるべく積極的にその成果を取り入れているとのことだが基本的にはヨーロッパから見たアフリカの歴史という感じ。記録のあるギリシア・ローマ時代から大航海時代、奴隷制度、植民地化、独立とその後まで広く扱っているが記録のない考古... ...続きを見る

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2017/08/02 02:22
横手慎二 「ロシアの政治と外交」 放送大学教育振興会
 レーニンばかり追いかけていたので現在のロシア連邦の本を読んでみた。エリツィンぐらいまではテレビ、新聞など注意していたけれどそれ以降はさっぱり。とんと内情がわからない。これは単に私がたわけであるだけかと思ったら、研究者たちも情報が少ない、状況が混沌としているなどなどどうも状況がつかみづらいようだ。それらを反映してか内容も暫定的なものが多い。タイトルからわかるように歴史書ではない。ロシア連邦というよりロシアの政治外交を機構や構造の推移などを切り口にして記述されているものが多い。混沌をそのまま読むと... ...続きを見る

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2017/07/07 05:46
かのよしのり 「ミサイルの科学」 サイエンス・アイ新書
 潜水艦の本同様ついつい買ってしまった本の一冊。科学というほどの内容はないが新聞などでミサイルの話などがでたときあーなるほどと話に納得できる程度にはそつなくよくまとまっている入門書です。潜水艦同様巻末に主要ミサイルの一覧があるのでニュースなどでなまえがでたとき便利。 ...続きを見る

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2017/07/01 22:50
柿谷哲也 「知られざる潜水艦の秘密」 サイエンス・アイ新書
 現在の潜水艦を解説した図表入門書。この軍事兵器シリーズは見開き2ページ一単位で項目を解説している。軍事関係の本は機密が多いせいかあまり詳しい本は少なく入門書的な内容の本が多いと思う。この本もそんな一冊。ちょっと読むのにはよい。ずいぶんこの手の本は読んでいないのでついつい買ってしまった。接合部分や結合部分などの拡大詳細写真をもっと頂戴とかマニアックになってしまいがちですが、米軍提供の写真などどこかで見たことありそうという風にソース元が限られる。肩に力入れずに読むのにちょうどよい本。巻末に主要潜水... ...続きを見る

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2017/07/01 22:42
前野ウルド浩太郎 「バッタを倒しにアフリカへ」 光文社新書
 この著者はあほである。バッタ研究を生涯の職業にしようと奮闘する。バッタの生態等は諸般の事情によりほとんど記述がない。ただただ著者の悪戦苦闘談のオンパレードです。バッタに触りすぎてアレルギーになってもバッタに突撃する。相当クレイジーです。面白く一気に読めます。 ...続きを見る

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2017/07/01 22:24
風間洋一 「宇宙の統一理論を求めて」 岩波現代文庫
 科学入門書なんて随分読んでいない。クオークの話が出たころぐらいまでは読んでいた気がする。「統一理論」なんて言葉に引かれてついつい買ってしまった。うーん、しまった。クオークの出始めのころに比べて話が細かい、内容が濃くなっている。話はとても分かりやすく書いてあるのだけれど、この手の本は結局わかったようでわからない。最後に感じるのは、あー、数学やらなきゃ。これが実に数学の才能のない人間にはつらい感想になる。今回もこの感想で終わることになった。 ...続きを見る

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2017/06/26 05:34
井田徹治 「霊長類 消えゆく森の番人」 岩波新書
 動物園などではお馴染みの霊長類。しかし実際に生息している人間以外の霊長類は絶滅危惧種どころか絶滅危惧類だ。そんな現状をジャーナリストが世界中を回って取材してリポートしたのがこの本。実際のところ絶滅しているのは細菌から昆虫その他数限りなく多くの種が絶滅しているのだけれど、人間との関係で、共存の難しさを考えるうえで理解しやすいのは霊長類かもしれない。  未開のジャングルなんてのは私の若いころにはまだ現実味があったけれど、今や人の踏み込まない場所を探す方が大変な時代。結構切迫した問題なので一読をお... ...続きを見る

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2017/06/26 05:20
下斗米伸夫 「ソビエト連邦史 1917-1991」 講談社学術文庫
 まだレーニン探しの途中で見つけた本。ソ連国家と共産党の創設者の一人で最後まで生き残ったモロトフを縦糸にしてソビエト史を描いてみた本。ソビエト連邦史とは言わずについついロシア共産党史とでも言いたくなるが読んでいると主要な登場人物のほとんどが生粋のロシア人とは言えない人々ばかり。  この本は講談社選書メチエから文庫版にするうえで重要な増補をしている。ロシア革命全体に影響したというロシア正教異端派「古儀式派」との関係を追加している。私もこの追加を見てこの本を買う気になった。そもそもレーニンのロシア... ...続きを見る

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2017/06/26 04:24
白井聡 「未完のレーニン」 講談社選書メチエ
 しまった。珍しく書店でレーニンの名前を見つけたのでろくすっぽ内容の確認もしないで買ってしまったら、なんとこれが歴史書ではなくて哲学書だった。ドイツ哲学の用語がばんばん、史的唯物論のにおいまでする。レーニンとの考え方の比較にフロイトまで出てくる。比較論としては面白いが本としては蛇足である。  労働力の商品分析から労働者は基本的に分裂するとして、ゆえに階級闘争を終わらせプロレタリアート独裁を実行するものが必ずしも具体的な労働者であるとは限らず、それらを実行する抽象的な体現者、代行者、つまり職業革... ...続きを見る

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2017/05/22 10:11
今井宏平 「トルコ現代史」 中公新書
 物事を判断するとき境界領域に着目してみるのも一つの手だと思う。その意味で現代史のトルコを見てみるのは面白いだろう。しかし実際のところ日本でトルコと言ってもほとんどよくわからない国ではないだろうか。副題に「オスマン帝国崩壊からエルドアンの時代まで」とあるように2016年まで扱っている。政治史に近いと思うが、どういう毛色の政党が文派、合流して現代にいたっているかはよくわかる本である。正直なところこの本だけではトルコってどういう国、というのはわからない。しかし著者が目指した手ごろにトルコ現代史の全体... ...続きを見る

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2017/05/22 09:23
泉鏡花 柳田國男 「柳花叢書 山海評判記/オシラ神の話」 ちくま文庫
 泉鏡花と言えば古い人だと坂東玉三郎の映画「夜叉ヶ池」を思い出す人がいるだろう。泉と柳田が懇意であったことは有名だったようだが私は初めて聞いた。本屋でこの二人のコラボの柳花叢書シリーズを見つけて面白そうと思って買った。泉の小説「山海評判記」に出てくる巫女、オシラサマ、長太ムジナの伝説に関わる柳田の論説が掲載されている。柳田の話を聞いた泉が話を絡ませ膨らませて拵えたのが幻奇譚「山海評判記」という感じだ。小説の方はちょっと講談のような語り口や口上ぽい言い回しで読みにくいところもあるが、意外や柳田國男... ...続きを見る

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2017/04/27 10:30
湯本雅士 「日本の財政はどうなっているのか」 岩波書店
 昔社会主義国の計画経済成るものにびっくりさせられ、いったいどういう運用をしているのか興味を持ったものだが、結局とんでもない「計画」だったという話に落ち着いた。それでも実際どのように経済を動かしていたのか検討した本が今あっても面白いと思う。しかしそれでは自分の国の財政はどうなっているのだろうと思うとこれも具体的にイメージするのが難しい。さてと本屋を探して一番詳しそうなのを選んで読んでみたのがこの本。  具体的なイメージを欲していたのでおそらく求めていたのは財政の運用、会計方法の方だと思うのだが... ...続きを見る

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2017/03/25 02:28
広瀬隆 「ロシア革命史入門」 インターナショナル新書
 「共産主義黒書」に対する「なぜ」の疑問に「ロシア革命」は当時の状況を知るのに役立ってくれても直接疑問には答えてくれないのでまたレーニンをキーワードに本屋で新刊を探してみた。この本ではレーニンも扱っていたので読んでみたがジェラール・ヴァルテル「レーニン伝」に強く依存している可能性があるので注意が必要かもしれない。この本はロシア革命を「戦争反対運動を最大の目標していた」ことを主題にして書かれている。意見の分かれるところだろうが着目点としては面白い。記述に勢い込んで書かれた部分も目立つが「共産主義黒... ...続きを見る

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2017/03/17 02:35
池田嘉郎 「ロシア革命 破局の8か月」 岩波新書
 「共産主義黒書<ソ連篇>」を読んでいて「なぜ」という疑問が起きたのでレーニンをターゲットになるべく最新の本を探してみた。しかしなかなか見つからないのでロシア革命を中心に近くの本屋を探して見つけたのがこの本。1月の新刊だ。ロシア革命といってもこの本で扱っているのは1917年2月革命で生まれ10月革命で終わる臨時政府の歴史だ。たいていの本では臨時政府はけちょんけちょんに扱われる。例えばブルジョワジー政権としてくくられて扱われるなど。臨時政府を主題にして詳しく追っかけようとしているこの本の発想は貴重... ...続きを見る

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2017/03/17 02:16
ステファヌ・クルトワ/ニコラ・ヴェルト 「共産主義黒書<ソ連篇>」 ちくま学芸文庫
 おおよそ十月革命からスターリンまでの赤色テロルと収容所群島、つまりソビエト革命の裏側の歴史を扱っている。世界の共産主義の裏側の歴史を扱った共著の一冊。とにかく大量の虐殺者数、処刑数、餓死者数、収容者数などの集計数が延々と最後まで淡々と続く。まったく死者の話だというのに不謹慎な話だが読んでると生あくびが出て飽きが来そうなくらい数の記述が続く。なぜにこれほどの悲劇が起きたかを考えるとマルクス・エンゲルスまで遡って一党独裁(共産党独裁)、発展的考え方、それらの考えを支えた弁証法などの構造的欠陥などの... ...続きを見る

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2017/03/17 01:49
カルロ・コッローディ 「ピノッキオの冒険」 光文社古典新訳文庫
 ガキの頃は本など読んだことがない。漫画ばかり読んでいた。見るものと言えばアニメ、映画館に行ったってアニメばかり見ていた。当時アニメで高級と言えばディズニー、テレビで歴史ものと言えばハリウッドの映画を見てなるほどと思っていたような人間だ。これらの内容がかなり偏っていたと思うようになるのには随分と時間がかかった。ディズニーのピノッキオのアニメの内容がどんなだったかちゃんと覚えていない。かなりいい子に創られていたという印象程度で特にどうということのないという感じだ。しかし実際の原典の内容はとんでもな... ...続きを見る

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2017/01/20 07:18
瀬川拓郎 「アイヌと縄文-もうひとつの日本の歴史」 ちくま新書
 アイヌと縄文という組み合わせのタイトルに惹かれて買ってしまった本。私の若いころの縄文の教科書などでの扱いはそれはひどいものだった。弥生文化に置き換わってしまうような一段劣った文化として扱われていた。さすが近年は縄文時代の大規模遺跡の発掘などの発見もあってか認識が変わってきたようだ。著者も縄文と弥生文化は影響しあいながらかなり長い間併存していたとして、また変化はしたとはいえ縄文の文化はアイヌに色濃く現代まで引き継がれたとしている。認識を新たにするためにも一読することをお勧めする。 ...続きを見る

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2017/01/20 06:52
川上仁一 「忍者の掟」 角川新書
 いかにも怪しいタイトルの本。カラー写真の帯には著者と思しき忍者姿。「甲賀流忍者に伝わってきた秘蔵の史料を初公開!」とでかでかとうたっている。もうぷんぷんにおいがする。著者紹介では甲賀伴党21代宗師家とある。こうなると臭すぎて買うしかない。買って読んでみたらバリバリにまじめな本だった。三重大学は日本で唯一忍者を学問的に扱っている大学とのことだが著者はそこの社会連携研究センター特任教授。内容の真偽は判定できないが結局のところこの本は忍者の歴史とに忍者の精神を扱った本だった。個人的には忍者の装束は当... ...続きを見る

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2017/01/20 06:24
橋本毅彦 「図説 科学史入門」 ちくま新書
 図には文章で語りつくせない別の魅力があるとして著者の選んだ図(100枚ほど)を混ぜ合わせて科学史を解説する。それで「図説」となっている。科学史としてはちょっと物足りない。天文、気象、地質、動物と植物、人体、生命科学、分子・原子、素粒子という章立てであとは細かい項目に別れて解説されている。むしろ科学史的エッセイ集のように気楽に読むのがよい。図に力点があるので項目間の結びつきの関係の記述は弱い。著者もこの点には注意しているようで科学史全体を俯瞰する長い序章を先頭に持ってきている。電車に揺られながら... ...続きを見る

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2017/01/20 06:06
阿古真理 「なぜ日本のフランスパンは世界一になったのか」 NHK出版新書
 日本人はしっとり柔らかなパンが好き。まさに白米が好きなように和風テイスト。しかし欧米などの実際のパンは少なくとも表面は固い。日本のパンは異質なのだ。私は本来フランスパンのような硬いパンが好き。ようやく最近はまともなフランスパンが出てきてうれしい。というのがこの本の裏テーマのような気がする。タイトルのなぜ日本のフランスパンが世界一になったかの説明の「なぜ」の部分の根拠は薄弱。戦後パン食を勧められたのはアメリカの小麦輸出計画の世界戦略のせいとする謀略説には一方的すぎると反論している。この点は短く書... ...続きを見る

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2016/12/26 01:12
大澤武司 「毛沢東の対日戦犯裁判」 中公新書
 11月の新刊。東京裁判は結構大きく扱われているがほとんど扱われることがない中国での戦犯裁判。戦後帰国した戦犯の人たちをアカ扱いしたりして微妙な関係にある中国の戦犯処理への対応。戦犯とは言えないが戦犯として扱われたりした人々がいるとか歴史的に中国の戦犯処理をどう見るかは難しいが、それでも死刑囚を一人も出さなかった点は大きい。  この本は最近の戦犯処理、戦犯裁判に関する中国側が保持する資料や政府系文書の公開、刊行された資料を調べて再考証している点が最大の特徴。この本がどういう立場の本であるかは置... ...続きを見る

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2016/12/26 00:39
作者未詳 「虫めづる姫君 堤中納言物語」 光文社古典新訳文庫
 平安時代後期から鎌倉時代までに書かれた作者未詳の物語を集めた短編集。何と言っても異質なのはタイトルにもなっている「虫めづる姫君」。こんな時代にこんなこと書く人いたのと意外性を感じること必至。内容の解説は書かない。立ち読みできる量の一品なので読んでみてほしい。その他の小品も源氏物語の断章のようなものが多いがちょっとずつずれている。買っても損はないと思う。  実はこの蜂飼耳さんの訳は好きではない。谷崎潤一郎の源氏物語の訳のような文章に香りがない。渋谷新宿当たりの雑踏の中の若者の会話を聞いているよ... ...続きを見る

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2016/12/26 00:16
佐藤信弥 「周-理想化された古代王朝」 中公新書
 中国の古代史を周を軸に近年発掘された金文を中心に再構築しようとする本。本書の構成はあとがきにあるとおり、「西周期から東周期にかけて、政治・軍事の主役が、周王及び王畿内で周王に仕える邦君・諸正から、外地を治める諸侯へと変わっていく過程を描くこと」と「金文を中心とした同時代資料から見出せる西周の歴史や礼制を整理したうえで、諸侯や儒家といった東周人がどのように西周の歴史や礼制を受容し、理想化していったかを見ていく」にある。  しかしまあ歴史の一次資料である金文とその読み下しと注釈が延々と続く。とて... ...続きを見る

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2016/11/16 13:18
伊藤正男 編 「岩波講座現代生物科学8 感覚と神経系」 岩波書店
 「生命の起源と分子進化」と同じく暗闇から転がり落ちてきた塩漬け積読本の一冊。刊行は1974年で「分子進化」より古い。  ガラス管微小電極を使った電気生理学的な手法での解析や電子顕微鏡での所見などニューロンや感覚器などを直接扱った話が中心になる。現代のようなPETスキャンやMRIなどない時代の話だから、生きた人間様の状態を扱う話は一切なし。そりゃそうだ。生きた人間の頭にぶさぶさ電極を突き刺すわけにゃあいかない。まわりくどい推測が多くなるが歴史本だと思って読めば面白い。  今もきっとそうなので... ...続きを見る

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2016/11/04 15:14
木村資生 近藤宗平 編 「岩波講座現代生物科学7 生命の起源と分子進化」 岩波書店
 置き場所に困り、車いすから手の届かない棚の上に放り投げたらそこは暗闇の中だった。あっという間に数十年たってしまって、これはまずいと物を使って叩き落したら、たっぷりのほこりとともに落ちてきたのがこの本。それでなくとも科学物は超激生モノだから1976年発行となると積読本の塩漬けだとしても干からびた梅干しだ。実際アマゾンで検索しても中古本が出品されていない。かといって面白くないかというとそうでもない。  木村資生が編者、執筆者なのだから中立説を詳しく解説しているかと思うと意外とあっさり解説している... ...続きを見る

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2016/11/04 14:35
鈴木真弥 「現代インドのカーストと不可触民」 慶應義塾大学出版会
 現代インドのカーストの問題として最下層の不可触民、接触するべからずの人々、特に屎尿処理や清掃という職業と結びついて扱われる人々を中心に扱った本。日本だとつい非人を連想してしまうかも。  首都デリーでの清掃カーストに対するフィールド調査は著者が女性であることも含めてかなり難しかったのではと推察される。とにかく日本では数少ない貴重な報告だと思う。 ...続きを見る

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2016/09/17 14:42
ラファイエット夫人 「クレーヴの奥方」 光文社古典新訳文庫
 話は恋を知らずに育ち、結婚後に思う人ができてそれを夫に打ち明けたということを核に進む。解説によればフランスにおける心理小説の祖、フランス文学における最初の近代小説と言われているそうだ。日本の夏目漱石の後期になればなるほどじめじめとした真っ暗な心理描写に比べればテーマに比して描写はあっけらかんとするぐらい明るい。著者が16世紀のフランス宮廷を描いた17世紀の宮廷の人のせいだろうか。この手の話に疎い人間には作品の評価は難しいが訳は大変読みやすくて一気に読めます。 ...続きを見る

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2016/09/02 16:40
佐藤次高 「イスラームを知る1 イスラーム 知の営み」 山川出版社
 公的な援助によるものかどうかはわからないが「全国的な共同研究NIHU(人間文化研究機構)プログラム、イスラーム地域研究」の成果を発表するための「イスラームを知る」シリーズの一冊。全12巻でこの本が1冊目。2冊目以降はイスラームの個別の問題を扱っているがこの本はイスラームの誕生から現在までの歴史を扱っている。100ページほどの小冊子で新書版的内容だ。コンパクトによくまとまっていて研究成果というより一般向け入門書のような感じだ。歴史書と書いたけれども宗教的な変遷を主な視点にしているので宗教イスラー... ...続きを見る

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2016/08/28 23:15
沈才彬 「中国の越えがたい「9つの壁」」 角川新書
 8月の新刊。覇権を狙う中国を阻む9つの問題を越えなければならない壁として解説している。新聞やニュースを見ていればだいたい内容が理解できる範囲の問題だが、日本の新聞のずたぼろな社説よりはまともに解説していると思う。改めて問題を整理して考えるための一冊としては手ごろだと思う。 ...続きを見る

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2016/08/27 16:50
ディケンズ 「二都物語」 光文社古典新訳文庫
 上下二巻。新訳文庫なので新訳のはずだが訳がやや古い。訳が悪いという意味ではなくて物語とうまく合っていない。  物語は瓜二つの二人が一人の女のために他方がもう一方の男の身代わりになって断頭台の露と消えるという筋立てなのだけれど、困ったことに物語のかなり最初の方でこの仕掛けが透けて見えてしまう。そうなるとこの手の冒険活劇ぽいB級ものは格調高い文体よりテンポの良い物語の進め方でぐいぐい読ましてくれた方がよい。そういうのにはスピード感だけが取り柄の蓮っ葉な感じの文の方がよいということになるわけだ。 ... ...続きを見る

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2016/08/22 16:29
ジッド 「狭き門」 光文社古典新訳文庫
 昔読んだと思っていて新訳が出ていたので二度読むつもりで買った。少女漫画家が描いていたり映画も出ていたからそちらを見て読んでいたつもりでいたのかもしれない。本はだいぶ捨てたものが多いので確かめようもない。そして実際読んでみても判然としない。灰色の脳が真っ黒なのを証明してしまった。  訳は   中条省平、中条志穂 でなかなかよい。内容は有名な本なので書いても仕方なかろう。  至高に至る道は常に我が身にかえる。現実の世界では野蛮人のそのものでも頭の中は至高、という人は実際にいそうで怖い。頭で... ...続きを見る

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2016/08/08 11:19
河野眞知郎 「中世都市 鎌倉 遺跡が語る武士の都」 講談社学術文庫
 考古学の立場から鎌倉を見た一般向け書。話題は武士に始まり寺、お墓、町屋、食と網羅的にでてくる。かなり読みやすいと思うし、かなり注意して用語を使っているけれどもそれでも専門用語はかなり出てくる。しかしこの手の歴史ものが好きな人には問題ないだろう。この本以外にもっと道に詳しいロードマップ本を別に持って実際に発掘現場を回ってみるのも楽しいかもしれない。まあほとんど埋め戻されて関係ない施設等が立っているだろうけれども。それもひとつの夏草や兵どもが夢の跡ということで。 ...続きを見る

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2016/08/06 17:22
深町英夫 「孫文 -近代化の岐路」 岩波新書
7月の新刊。  現代の中国に連なるように民主と独裁というような一見矛盾しあうように思えるものを希求した人、孫文。一貫してこの視点で孫文の一生を扱った本。おもしろい。孫文の具体的な考え方は同じ著者による編訳書  「孫文革命文集」 岩波文庫 があるようなのでこちらを読むといいかもしれない。 ...続きを見る

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2016/07/30 16:39
エドワード・サイデンステッカー 「東京下町山の手 1867-1923」 講談社学術文庫
 この本を下町、山の手の精神的な構造の話だとか人情話や両者の考え方の違いだとかを書いた本だと思うと間違う。下町、山の手という言い方はかなりいい加減で場所も考えも相当変遷している。この本はその変遷の方に着目した本です。  私なぞは江戸が湿地帯を埋め立てた土地だというくらいは知っていたので、低地を囲む高台というくらいにいい加減に考えていた。ひどい話、山手線の内側と外側ぐらいのイメージです。最初は江戸の敷地のほとんどを大名屋敷、武家屋敷が占め、その間を埋めるように町家があり、さらに狭いところに下町が... ...続きを見る

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2016/07/18 13:38
伊藤 武 「イタリア現代史」 中公新書
 この本は現代史と書いてあるが、著者もいう通りガリガリの政治史だ。経済史でも社会史でも生活史でもない。その他生き生きとした現代イタリア物はいっぱいあるので意図的に切り離してある。キーになるのはイタリアの政党政治だ。よくまとまっていると思うがちょいと詰め込みすぎで読みづらいかもしれない。観光案内的な現代イタリアの本以外で意外と本格的に現代を扱っているものは少ないと思う。2016年1月の発行でごく最近まで扱っている。新聞などでのイタリア政治の記事などではわかりづらいと思っている方にはお勧めだ。 ... ...続きを見る

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2016/06/20 17:02
野口 廣 「エキゾチックな球面」 ちくま学芸文庫
 この本はちんぷんかんぷんだ。一応トポロジーの入門書だがトポロジー数学史に近い。まずこの本は続編だった。文庫版のタイトルにはないが原典には「続 トポロジーの世界」と副題がついている。いつものように確認もしないで買ってしまった。そんでもってこの前編の内容を前提とした話がこの本にはガンガン出てくる。そして証明やら説明抜きでいろいろな用語や考えがばんばん書かれている。すでにトポロジーについて予備知識がないとちゃんと読めそうにないように思える。えい、読むのを止めたろかと思っていたら本文で著者が「まあ適当... ...続きを見る

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2016/06/05 00:30
野間秀樹 「ハングルの誕生、音から文字を創る」 平凡社新書
 ハングルの構造を音素、音節、アクセント、形態素の多層構造で説明している本。朝鮮語会話の本ではない。初めの書「訓民正音」から現代のハングルまで、漢字の使用を含めて朝鮮語の歴史を丁寧に扱った入門書。とても意欲的に書かれているが用語の使い方も意欲的で多少読みづらい。特徴的なのが「ゲシュタルト」。なぜかいっぱい使い倒したあとこの言葉の説明を巻末近くで行っているのだけれどもこれがわかりづらい。私の知る限りゲシュタルト心理学で有名になり、いろいろなところで使いまわしされている考え方で結構イメージするのが面... ...続きを見る

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2016/04/02 21:00
スベトラーナ・アレクシェービッチ 「テェルノブイリの祈り-未来の物語」 岩波現代文庫
 話はなぜかほとんど事故自体には何も言及しない。意図的な構成なのか情報が封鎖されているせいなのかどうかはわからない。事故以降の周りの話を集めてる。内容は悲惨そのものだ。しかし日本人のせいか冷徹に読み進めることができる。特に悲しいとは思わなかった。状況や環境は違ってもヒロシマ、ナガサキですでにわかっていたことだし、さらに前を言えば核実験を行った時点でわかっていたことだ。それでもフクシマと繰り返す。歴史は繰り返すということか。次はいつだろう。  わたしは内容全体に薄い違和感を感じたけれどそれが何か... ...続きを見る

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2016/03/14 03:49
新潮社編 「塩野七生『ローマ人の物語』スペシャル・ガイドブック」 新潮文庫
 この本は写真を見るためだけならともかく、読むのにはまったくお勧めできません。巻末に塩野へのインタビュー記事があるのでこちらは読んでもいいですが、読むだけなら30ページほどなので立ち読みで十分。  本文は編集部作成のようですが、とにかく切り貼りのまとまりのない内容です。全巻読んだ人ならなんとか意味を読み取れますが初めて買って読む人はちんぷんかんぷんです。画面レイアウトやフォントの選択、行間スペースやカーニング、その他もろもろど素人のような作りで大変見づらい、醜い。内容が良ければここまで言わない... ...続きを見る

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2016/03/10 05:14
塩野七生 「ローマ世界の終焉」 新潮文庫
「ローマ人の物語」、41〜43分冊、上中下。  ようやっと終わった。長い、実に長かった。  王制、共和制、帝政と移り変わったローマ帝国の歴史も最後は事実上の王制になって、襲ってくる敵も蛮族、それを迎え撃つ帝国の登場人物もほとんど蛮族出身者ばかりとなる。いったいこれがローマの歴史なのかと疑いたくなるところだけれども、これもローマ人の「寛容」から生まれた結果かと思えば話が通じる。この本も「最後のローマ人」として蛮族出身の将軍スティリコから始まる。  ガリアが消え、アフリカが消え、ローマが傲掠さ... ...続きを見る

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2016/03/10 04:56
塩野七生 「キリストの勝利」 新潮文庫
「ローマ人の物語」、38〜40分冊、上中下。  コンスタンティヌス帝とその子コンスタンティウス帝のキリスト教の優遇策からテオドシウス帝によるキリスト教の国教化までのうち、この巻はコンスタンティウス帝から始まる。  著者は多神教と一神教の違い、一神教の排他的、狂信的になりやすい側面に注目している。そしてすべての宗教を受け入れるローマの寛容がキリスト教を国教にすることによって最後の一撃をローマ帝国に与えて終わったとみている。同化政策に象徴されるローマの寛容の最後の砦が落ちたとみている。  宗教... ...続きを見る

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2016/03/10 04:15
塩野七生 「最後の努力」 新潮文庫
「ローマ人の物語」、35〜37分冊、上中下。  ディオクレティアヌス帝のこの時代から帝国は四分割され、最終的に二分割になる。首都もそれぞれローマ以外の場所になる。登場人物たちに生粋のローマ人はほとんど登場しない。これがローマ人の物語かと愚痴りたくなる展開だけれども、読者としては「終わりの始まり」の巻以降を読んでいないとこの展開がわかりづらい。注意されたし。 ...続きを見る

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2016/03/10 03:34
塩野七生 「迷走する帝国」 新潮文庫
「ローマ人の物語」シリーズ、32〜34分冊、上中下。  この著者の本を読んでいるとローマにおける奴隷のような存在が、例によってハリウッド映画に毒されたような頭の人間が考えるものとは違って、しかもアメリカやヨーロッパの植民地での奴隷のようなイメージとは違うものだと思わせるようになる。主人一家と同じように暮らし、かなり簡単に解放奴隷になることができ、さらにその子供たちはローマ市民になることもできるという大変寛容で流動的な存在だ。しかもそれら寛容な同化政策は奴隷だけでなく貴族、平民、蛮族であろうと適... ...続きを見る

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2016/03/10 00:50
塩野七生 「終わりの始まり」 新潮文庫
「ローマ人の物語」シリーズ、29〜31、上中下。  ローマ人の物語はこれからどんどこどんどこ転げ落ちていく話になる。しかし簡単に落ちるかというとこれがなかなか落ちない。巻数もまだまだある。だから読者も先はまだまだ長いので覚悟して読まなきゃいけない。  この巻は後の人に最も評判の良い五賢帝のうちの哲人皇帝マルクス・アウレリウスから始まるのが特徴。「自省録」の人ですね。この辺あたりからキーワードになる「蛮族」が登場してきます。まあカエサルが攻略したガリア人も蛮族だけれども、ローマの同化政策に乗っ... ...続きを見る

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2016/03/09 23:55
塩野七生 「すべての道はローマに通ず」 新潮文庫
「ローマ人の物語」シリーズ、27〜28分冊、上下。  ローマという覇権を支えたインフラをハード、ソフト両面で単独で説明した巻。話自体はこれまでの巻でしつこいほど説明されているが重要なので単独で詳しく説明されている。著者は技術者でも何でもないので技術書として読むと物足りない。あくまで著者の主張するところの話に関連して説明されている。しかしローマの技術の入門書としても面白い。シリーズ全巻読むつもりのない人でも読むといい。 ...続きを見る

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2016/03/08 23:04
塩野七生 「賢帝の世紀」 新潮文庫
「ローマ人の物語」シリーズ、24〜26分冊、上中下。  著者は最初に歴史の第一次資料がないと言って愚痴から始める。読む方も大変だ。一応全43冊読んでからこの書評を書いているのだけれども著者の話のネタは悪帝のネロたちを含め、カエサル、アウグストゥス、ティベリウスまでで出揃っている。後はローマ帝国の問題点が露呈していく物語が続く。つまりネタバレしている話を延々と聞かされることになる。とはいえこの巻で扱っている五賢帝の時代までは帝国内のどこでも一人で歩き回っても問題のないときが続く。  しかし読ん... ...続きを見る

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2016/03/08 22:50
塩野七生 「危機と克服」 新潮文庫
 「ローマ人の物語」シリーズ、21〜23分冊、上中下。 ローマの「悪帝」の後には内乱と御難続きになるのだけれども悪いことばかりじゃない。徐々にローマの古い血筋の皇帝たちから同化した属州の人脈の皇帝たちが生まれてくる。ローマのお家芸、同化政策をカエサルから押し広げてきた結果が反映されてくるという筋書きで話が進む。歴史の第一資料の少なさを嘆いているのでなかなか話が見えづらいのでカエサルの時のような面白さはないけれど視点の違いという意味ではこれはこれで面白い。全巻読む気のある人は読んでみよう。 ... ...続きを見る

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2016/02/13 04:22
塩野七生 「悪名高き皇帝たち」 新潮文庫
 「ローマ人の物語」シリーズ、17〜20分冊、1〜4。 カエサルから始まった帝政を盤石にしたというティベリウスを、適当な自分の血筋の子が今いないというのでアウグストゥスはピンチヒッターとして最後の最後に次期皇帝に指名する。このティベリウスはアウグストゥスの妻の連れ子である。  当の本人は恋女房と一生を終えたというのに同じ恋女房を持つティベリウスをアウグストゥスは離婚させて自分の娘を妻にさせる。種馬だね。でも結局離婚してしまう。そして別れた先妻を思ってか独身を通す。皇帝になってもアウグストゥス... ...続きを見る

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2016/02/13 03:17
塩野七生 「パクス・ロマーナ」 新潮文庫
 「ローマ人の物語」シリーズ、14〜16分冊、上中下。 カエサルが設計図を思い描き、アウグストゥスが築きティベリウスが盤石にしたという順番でいうと、ローマの共和制から帝政への移行を慎重に進めたアウグストゥスの話の巻。カエサルは城壁による防衛ではなく安全保障体制でローマに平和をもたらそうとしてローマの城壁を壊し、周辺の国々をローマ化していった。そしてどの国の人間だろうとどの階級のものであろうと能力主義で登用していった。その世界を築こうとしたアウグストゥスもカエサルの後を追う。しかしただ一つ違った... ...続きを見る

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2016/02/12 22:01
塩野七生 「ユリウス・カエサル」 新潮文庫
 「ローマ人の物語」シリーズ、11〜13分冊、上中下。 このシリーズ全43分冊中、現在25冊目を読んでいるところですが、少なくともここまでではこの巻がシリーズの肝です。というよりこの巻を読んでいないと以降の巻の内容がよく理解できない。全巻読むつもりがないならぜひこの巻を読むべきです。必要上の問題以外にこの巻が一番面白い。ついでにハンニバルの巻も読むとよろしい。  著者によれば帝政のローマの基礎を築いたのは、天才カイサルが設計図を書き、アウグストゥスが築いてティベリウスが盤石にしたという。つま... ...続きを見る

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2016/02/12 20:36
塩野七生 「ハンニバル戦記」 新潮文庫
 「ローマ人の物語」シリーズの文庫版(3〜5巻、上中下)。単なるイタリア中部の一部のみを占めたにすぎなかったローマ人をハンニバルが鍛え、変えていって如何にして地中海世界の覇者になったかを物がっている本。面白い。実に活劇映画ですね。いろいろな人物が登場しますが、主要な登場人物であるハンニバルとスキピオがともに自国に裏切られ、ハンニバルは遠い黒海沿岸のビティニアで毒をあおって死に、スキピオはローマを離れ二度とローマに足を踏み入れなかった。文庫本シリーズは最初単行本で出ているので一応独立していてこの部... ...続きを見る

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2015/12/29 21:09
塩野七生 「ローマは一日にして成らず」 新潮文庫
 「ローマ人の物語」シリーズの文庫版(1〜2巻、上下)。ローマの伝説の時代から共和制成立までを扱っている。ローマが如何にしてローマになったかを説明している。特にローマの政体が共和制とはいえあせらずケースバイケースの寡頭制だということを主張している。このためいつもの七生節からすると実に説明的な本になっている。しかしこの後のシリーズの中ではこの本での共和制の話をベースに進めているようなのでとにかく読んでおかないといけない本です。  「ローマ亡き後の地中海世界」という単行本も出ていてこれも面白い。単... ...続きを見る

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2015/12/29 20:36
稲垣栄洋 「身近な虫たちの華麗な生きかた「 ちくま文庫
 同文庫から出ている同じ著者による「身近な雑草の愉快な生きかた」という本の昆虫版。構成も語り口もまったくいっしょ。著者は植物の方が専門のようだが、植物と昆虫は切っても切れない仲。同じ著者が両方を書くというのもうなずける。紹介されている昆虫たちはほとんど、おー、おー、見た見た居た居た、と感じる虫たちばかり。小さいころを思い出す人も多いだろう。しかし現在これらの虫たちをほとんど見かけなくなった。特に水がきれいでないといない虫たちや、田畑や林、森が近くにパックでないといないような虫たちを差し引くとほと... ...続きを見る

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2015/12/10 05:57
朝永振一郎 「鏡の中の物理学」 講談社学術文庫
 同時に収められている「光子の裁判」と合わせて素粒子の粒子性と波動性、相対論などをやさしく解説したもの。特に「鏡の中の物理学」はすでに古典といえるもの。有名だったのでいつか読もうと思っていて読んだ本。鏡に映る世界を見て対称性を考えてみたりしている。うまい、と思わせる文章です。しかしいつも一般向けの量子力学の本を読むと感じてしまうことを感じてしまいます。あー、やはり数学がわからないと本当のところはわからないと。うん、数学を勉強しましょう。 ...続きを見る

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2015/12/09 03:46
オブライエン 「不思議屋/ダイヤモンドのレンズ」 光文社古典新訳文庫
 いつものように本屋でパラパラと見て購入した本なので初めての作者の小説。アイルランド生まれのアメリカの小説家。南北戦争で亡くなっている。「ダイヤモンドのレンズ」の数ページを読んで顕微鏡愛の話かなと思って思わず買ってしまった。読んでみると前半はいいのですが後半で試料の水滴の中に妖精が出てきたあたりで顕微鏡から離れてしまってちょっとがっかり。しかし他の作品も最後まで読んでみるとこの作者、今風に言うとSF作家、妖気物、幻想譚の類の好きそうな人のようです。映像にすると面白くなりそうです。解説によればかな... ...続きを見る

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2015/12/04 07:27
赤松啓介 「夜這いの民俗学・夜這いの性愛論」 ちくま学芸文庫
 この本を読むときっと、えー、嘘、夜這いなんてと浮世離れした話に笑っちゃうかもしれない。特に著者の話しっぷりは結構荒っぽいのでなおさらだ。しかし私が若いころに、友人が実際に夜這いに行った時の話を聞いているので私としてはにやりと笑うしかない。かなり古い話なので記憶が怪しくなっているが、一階に陣取っている親父を避けて梯子で二階の娘のところに押し入る話で、今考えると二階の窓に鍵がかかっていなかったはずだというところがミソだ。現在では環境も文化も違い、特に子どもの扱いなどが基本的に違うので夜這いの話など... ...続きを見る

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2015/11/29 19:06
内海愛子 「朝鮮人BC級戦犯の記録」 岩波現代文庫
 戦中日本軍によって軍属傭人として雇用されたまま戦犯として絞首刑、禁固刑に処せられた人のうち朝鮮人の方々の現在までの運命を記した本。他の戦争の問題と同様、当事者たちの寿命が怪しくなるなかこの本の再刊はなかなか意味があるだろう。  どのように戦犯を解釈しようと、戦犯として扱われる時だけ皇国の臣民として扱われ、その他ではすべて外国人として扱われるというのはさすがに理不尽と言わざるを得ない。多くの人がこの本を読んで当事者たちが納得のいくなんらかの早期の決着がつくことを望みます。 ...続きを見る

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2015/11/08 06:27
R.P.ファインマン 「物理法則はいかにして発見されたか」 岩波現代文庫
 この本はとても泥臭い。  コーネル大学での一般向け講演とノーベル賞受賞講演のふたつをまとめた本で、物理法則が発見される道のりや自分のアイデアの推移を勘違い、無駄、それでも好き、有効と、よくあるすでに結果の出ていることを前提にしてする説明ではなくて一歩一歩説明している。そのため私が読んだ一般向けの不確定性原理の説明ではこの本が一番わかりやすかった。  ちょっと古い本の再刊なのでやや訳が硬く感じるが、ファインマンさん好きなら覘かれてみたらいかがかな。 ...続きを見る

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2015/11/08 05:41
鈴木健二 「戦争と新聞」 ちくま文庫
 明治維新以降の新聞の戦争への関わり方と功罪、そしてその記事の内容に関する通史のような本。静かに一歩一歩戦争への道を歩み続ける現在にとってなかなかタイムリーな再刊だろう。  著者は元毎日新聞の記者で、本書は毎日新聞に個人署名で連載した記事を中心にまとめた本。そのため内容はやや新聞、新聞社、記者に同情的である。著者の積極的意見について知りたいのなら終章を本屋で読んでこの本を買うか決めるとよい。  歴史的な記述とともに記事内容が抜粋されているが新聞に掲載された内容が中心とはいえ当然歴史的説明がさ... ...続きを見る

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2015/11/08 05:20
岩崎葉子 「「個人主義」大国イラン」 平凡社新書
 この本はなかなか面白い。アメリカの影響ですっかり敵国イランが 板についてしまっているが、しかし政治的な問題と人との問題は 別物。イランの人々の日常を知るのには最適な一冊。  著者はイランの経済の研究者。この本ではアパレル関係の調査が 主に書かれている。まあバザールなどのおっさんたちとの茶飲み話が いっぱい書かれていると思えばだいたいあたっている。もしどんな 本かと思ったら本屋で第1章2節「ふたたびテヘランに住む」の 8ページほどを立ち読みしてみよう。  テヘランで家探しをして完... ...続きを見る

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2015/10/19 13:38
プラトン 「プロタゴラス」 光文社古典新訳文庫
 久しぶりにプラトンを読んだ。この文庫を選んだ理由は 文庫の趣旨の通り、古典をよみやすくだ。実際読みやすい。 ソクラテスに「ぼく」と語らせるのは気になったけれど この言葉は時代で印象がかなり変わるので致し方ない。 訳者にとっては違和感がなかったのだろう。  この手の有名な本に論評を加えるのは避けた方が得策だが、 言葉を操った論法の実験のような話がソクラテスとプロタゴラスとの 間で続いて、最後にお互いの主張するところと全く反対の 結論に陥るように強引にプラトンは導いてそこで 終わ... ...続きを見る

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2015/10/09 22:21
エルヴィン・シュレーディンガー 「自然とギリシャ人・科学と人間性」 ちくま学芸文庫
 この人はいろいろ言っているのでうまく読み取れず個人的 興味だけで読んでしまった。面白かったのはデモクリトスの 原子論が突飛な思い付きだけで主張されたのではないという点。 イオニアの自然学派の個体・液体・気体などの物の塊を 希薄化と凝集と見る見方を受け継いで、連続性の難問を解いて 物を隙間のない連続体と見ないで不連続な原子を置いたとする ことなどだ。  きっと認識論などに興味のある人には面白い一冊だろう。 ...続きを見る

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2015/10/04 02:44
トロツキー 「ニーチェからスターリンへ、トロツキー人物論集」 光文社古典新訳文庫
 久しぶりにマルキスト風文句の混じった文章を読んだ。 トロツキーが残した200近くの人物論から訳者、森田成也・ 志田昇が16本選んだ本。  昔トロツキストといったら批判されるべき修正論者、ようするに ひよった人だった。始終使われる用語の割には本人の文書を 見ることはなかった。ところがベルリンの壁が壊れたら 社会主義の出版社でもなんでもない普通の出版社、光文社から トロツキーの本が出た。私なんか光文社なんて言ったらすぐ 漫画雑誌「少年」の出版社って思い出す。とにかくこれは 買わな... ...続きを見る

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2015/09/29 21:26
稲垣栄洋 「身近な雑草の愉快な生きかた」 ちくま文庫
 意外や意外、面白かった。 ひし形の語源になった「ひし」とはどんな植物、 ハマスゲは別名、香附子(こうぶし)の附子とはトリカブトの ことで「ぶす」の語源になったとか、そうかと思うと乾燥に 強くなるため気孔の開閉を夜昼逆にして夜に二酸化炭素の 取り込みをするCAMという機構をサボテンやスベリヒユは 持っているとか、うんちく好きにはたまらない一冊。  挿絵には大変繊細な絵が載っている。繊細すぎて 印刷ではつぶれてしまうので多少ボリュームと立体感に 欠ける。ただし原画ではそんなことは... ...続きを見る

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2015/09/23 01:59
W.F.Clocksin/C.S.Mellish 「Prologプログラミング」マイクロソフトウェア
 古参の積読本。Prologの教科書としては昔唯一と言えるバイブル本。 もう絶版で古本でしか手に入りませんが、今読んでも十分通用する 本です。一応昔も途中まで読んだのですが当時処理系がめんたま ひんむけるほど高くて実際に実行できなくていまいちピンとこなくて ほったらかしにしていた本です。現在メモリもたっぷりで無料で 利用できる処理系があるので改めて読んでみました。  使用した処理系は     SOFNEC AZ-Prolog です。  Prologは一階述語論理に基づいてホーン... ...続きを見る

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2015/09/19 01:51
クリストファー・パオリーニ 「ドラゴンライダー4、インヘリタンス」 静山社
 長い、長すぎる。全4巻、6分冊で、横に積むと30pになる。 しかも13年もかかってようやく完結した。13年も付き合って 読む方も大変だ。  内容はドラゴンとドラゴンに乗るライダーたちの物語。一部の 人にしかわからない表現でいうとエバンゲリオンより ビキニ・ウォリアーズに近く、ゲームでいうとドラクエといったところ。 ころころ変わる展開、冒険、スキルアップの修行と飽きさせないが、 最終巻まで読んでも特別に特徴のある物語だとは思えない。 しかし小さいころどうでもいい内容の漫画を一生懸... ...続きを見る

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2015/09/10 02:18
鄭大均 「日韓併合期、ベストエッセイ集」 ちくま文庫
 第一次資料に近いものを選ぶ方針で買ってみた本。 選者が政治色のない日韓併合期の日常の雰囲気が わかるものを選んだエッセイ集。年々涙腺がゆるくなって 来ているものには敵のようなエッセイも多い、なかなか よい本です。このごろの政治色ばかり目立つ雰囲気の なかでは特にタイムリーな出版だと思います。 だまされたつもりで読んでみてください。  朝鮮人と日本人の著者の比率が大きく日本人に 偏ってしまっているのは日韓併合期では朝鮮人から 文字が奪われていたためと言っています。 ...続きを見る

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2015/09/06 04:13
ジョン・トーランド 「ライジングサン、大日本帝国の興亡」 全五冊 ハヤカワ・ノンフィクション文庫
 「ぼくらの頭脳の鍛え方」で立花氏が推薦していたうちの一冊。 二・二六から終戦までの太平洋戦争を扱った本。ドキュメントを 物語風の通史として扱った本としては走りとなった本のようだ。 ピュリッツァー賞受賞作品。  アメリカ人が日本人の目で見たと思って書いた本。大変多くの 当事者たちのインタビューを基にしている。最近訳を改めた 新版として発行された。最終巻で日本人の対談が追加されているが 日本人が当事者たちにインタビューすると何も答えてくれないが 外国人であるトーランドにはぺらぺらし... ...続きを見る

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2015/09/03 02:39
コーデル・ハル 「ハル回顧録」 中公文庫
 アメリカの国務長官ハルの在任期間中1933年3月から 1944年11月までの回顧録。日本ではハル・ノートで有名。 ルーズベルト大統領の国務長官として働き、外交に徹し、 軍事、財務などには直接関与しなったようだ。このため原子爆弾の 開発や投下の決定などについては知らなかったといっている。 国際連合の立ち上げに尽力し、大きな戦争が起きるくらいなら 予防的戦争に賛成していた人でもある。  この本を読もうと思ったのは本のガイドブック「ぼくらの頭脳の 鍛え方」で立花隆がこの本にコメントし... ...続きを見る

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2015/08/02 12:19
立花隆 佐藤優 「ぼくらの頭脳の鍛え方」 文春新書
 あまりに異様な組み合わせだったので内容を見ないで買った。 読んでみたら本のガイドブックだった。ジャンルに関係なく各自 100冊ずつ、現在発売している文庫・新書を100冊ずつ選んで 解説するという内容だ。立花は破廉恥なくらいいろんなジャンルから 選んで、佐藤は自分の興味のある領域のみから選ぶという 好対照となっている。  比較的読みやすい本が選ばれているが数学が多少できないと 読めないものも選ばれている。少し偏るが、まあだいたい両者が コメントしている本は面白いかもしれない。立花... ...続きを見る

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2015/07/26 17:12
パット・バー 「イザベラ・バード 旅に生きた英国夫人」 講談社学術文庫
 1872年以降世界中を巡った英国夫人の旅行記 「イザベラ・バードの日本紀行」を読んで本人に興味を持ったので 彼女の伝記を読んでみた。期待した通りの矛盾した人だった。  牧師の娘として生まれ教養があって知的で貞淑な博愛主義者の こちこちのキリスト教徒。非常にうまく都会の社交的な世界で 立ち回れるのにどうしても合わない。同文明人なんかいないところで 馬にまたがり疾走するのが大好きで、それが自分の健康を 保つ唯一の方法。規範からずれているのに規範そのものを 壊すことは決してしない。自... ...続きを見る

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2015/07/18 22:17
イザベラ・バード 「イザベラ・バードの日本紀行」 上下巻 講談社学術文庫
 1878年という年に、明治11年というと西南戦争と東京大学設立の 年の翌年、イギリスの夫人が東日本と蝦夷(このときは北海道を指す) を日本人の従者一人だけ従えて踏破した。この本はその紀行記。  今、この本を下敷きにした「不思議の国のバード」という 漫画(佐々大河)が連載中で単行本も出ている。私もこの漫画を読んで 興味を持ったので原本を読んでみた。  漫画のバードは美人で快活、従者伊藤も男前の紳士に描かれていますが、 そんなことはない。このときバードは47歳、背骨に持病を抱えるおば... ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 0

2015/07/15 04:10
木田 元 「マッハとニーチェ」 講談社学術文庫
 正直言ってちんぷんかんぷんだった。この本を読んで改めて 私には哲学は向いてないなと思う。  二十世紀転換期におけるマッハとニーチェの影響について 考察してみようというのが本書だが、こちらの意図はレーニンが けちょんけちょんにしているマッハとマッハ主義者の当のマッハが どういう人でどういう影響を残したのか、できればマッハ、 ウィトゲンシュタイン、ラッセル、ヒルベルトの公理主義、 ゲーデルの不完全性定理につながる道があると面白いなと 思って読んでいたのですが、こちらはまったくだめ。... ...続きを見る

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2015/06/21 22:47
渡邉 泉 「重金属のはなし」 中公新書
 「重金属とはなにか」から始まって、金属の人類との古い付き合い と生体に必須な重金属について語り、毒としての側面と環境汚染と 続きます。  この本の肝は第2章です。生命の使用している物質は最初から 目の前にすべてあったのではなく地球史のなかでそのとき 多かった物質を取り込み、陸地の生成など環境変化に伴う適応と 取り込みを行ってきた。関係は一方通行ではなく生命の側も 酸素環境など環境を変更してきた。その相互作用の歴史が 生命機構の中の重金属として残っているとしている。 主張してい... ...続きを見る

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2015/06/14 20:19
和田春樹 「慰安婦問題の解決のために -アジア女性基金の経験から-」 平凡社新書
 この問題では残念ながら新聞は役に立たない。 これだけ長期間解決が長引いてしまった問題だと 何かしら別の情報源から現状を知らないといけない。 かといってこの問題ではなかなか怪しい人たちが 暗躍しているので本選びも楽じゃない。  著者は政府の依頼でアジア女性基金の呼びかけ人と 理事になった人です。政府は賠償問題は解決済みと いう立場なので民間から「償い金」を払うという方式を とりそのための組織として基金を立ち上げた。たいへん 微妙で中途半端な組織なのですが、その分中間的な 立場... ...続きを見る

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2015/06/14 04:27
林望 「イギリスは愉快だ」 平凡社
 第三十九回日本エッセイストクラブ賞をとった「イギリスはおいしい」の 第二作目にあたる作品。友達に紹介してもらったかプレゼントされたのに 25年近くも積んどいてしまった本。大変申し訳ないことをしたのだけれど 読み始めたらおもしろいので一気に読みました。  「グリーン・ノウ物語」の舞台となったヘミングフォード・グレイのマナー ハウスで暮らすことになった著者と主、ボストン夫人との日々が 中心となるイギリスの話。  オンボロテレビで見るイギリスの異様な番組、ほとんど音の聞こえない 古典... ...続きを見る

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2015/06/03 23:13
ハーバート・ノーマン全集 第四巻、クリオの顔
 羽仁五郎の「都市」とか「都市の論理」なんかとフィレンツェなんかの 本を読んでいて「クリオの顔」を紹介していたので買って35年ほど 積読本なっていた本。もともと岩波新書で出て、当時絶版だったので 全集本を買った。ほっといた間に古典になっちゃって今は岩波文庫から 出ている。オー、NO!。  クリオというのはギリシアの技芸の神々ミューズたち姉妹のどんケツで 歴史の女神。内容は狭い意味でいえば歴史家が歴史の女神と 付き合うのにはどうしたらいいかという話なのだけれども、かなり 繊細な内容... ...続きを見る

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2015/06/02 18:08
アンネッテ・ヴァインケ 「ニュルンベルク裁判」 中公新書 板橋巧巳 訳
 内容は表題を見ればすぐわかるもの。「これでわかる〜」的な 叢書の一冊として刊行されているので、簡潔に裁判の前後の 事の成り行きが記述されている。逆に個々の裁判の内容自体には あまり触れていないので詳しく知りたいのならもう一冊別の本を 読む必要がある。入門書に最適な本。  全体のトーンは裁判を肯定的に捉えていて、個々の問題は 批判的に見ている。  ニュウルベルグ裁判を参考にした東京裁判を持つ我々から すると明らかにこの裁判は「勝者の裁判」ではあるけれども、 かつて一度も自分の手... ...続きを見る

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2015/05/27 23:09
菊池 明 「「幕末」に殺された女たち」 ちくま文庫
 幕末期、男のためにとばっちりで死ぬことになった 女たちの物語。夫に従って死ぬのがおかしくない時代の 話なので自死した人を含みます。調べた結果を淡々と 記述しているのでセンセーショナルな内容を期待した人には 向かない。その代り読む人によって読み取り方が変わると 思います。  選者の女の選び方に何か意図があるかはわかりません。 従属的なアホな女たちと見るか、悲しいとみるか、昔のように 倫理的に誉と見るか、話のネタの宝庫と見るか。 お好きにどうぞ。  少なくとも記録のある歴史時代... ...続きを見る

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2015/05/25 20:31
ロダーリ 「猫とともに去りぬ」 光文社古典新訳文庫/関口英子 訳
 この本はハヤカワから出した方がいいくらいの本だ。 荒唐無稽といいたいくらい多彩だ。「箱入りの世界」なんぞ、 空き瓶、空き缶、空き容器がどんどん大きくなって人間は 空き瓶、空き缶の中に住む。そのうちでっかい段ボールが 飛んできて月と地球を包んでします。話はそれだけ。 落ちもへったくれもない。こうなったら読む方もやけくそだ。 はっ、はっ、はっと面白けりゃ笑って済ますっきゃない。  訳者が関口英子氏なのは偶然。選んだわけでもないが この人の訳は二冊目。とても読みやすい。それと読みやす... ...続きを見る

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2015/05/19 15:16
塚谷裕一 「スキマの植物の世界」 中公新書
 路傍の植物を扱った写真集。せっかく買ったので近くを うろうろしたついでに隙間君を探してみました。意外と本に 出ている植物が見つからない。かわりに掲載された植物以外の 「雑草」が多いのに驚いた。 ...続きを見る

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2015/05/16 18:24
ロビンソン 「現代経済学」 岩波書店
 40年物の積読本をようやくひとつ片づけた。現代の経済学も 40年も経つと立派な古典だ。確かサムエルソンの「経済学」を 読んだ後ケインズ学派のものを読もうと思って購入してそのまま ほこりをかぶることになったと思う。岩波書店では絶版になって いるので古本を探すしかない。   ジョーン・ロビンソン/ジョン・イートウェル   「現代経済学」   岩波書店 宇沢弘文 訳  私は知らなかったのだけれどこの人結構有名な人らしい。 簡単なモデルを基に骨格を作り議論を進めている。古典派、 新... ...続きを見る

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2015/05/15 20:28
ピランデッロ 「月を見つけたチャウラ」 光文社古典新訳文庫
 古典新訳文庫には読みやすい訳の本が多いので 最近はよく読むようになった。その文庫の帯に 「須賀敦子翻訳賞第1回受賞作」とあったので 買った一冊。作者については何も知らないし、どういう 本かも知らないのに買うという、破廉恥な選び方をした 本。その訳者は   関口英子  本はイタリアのピアンデッロの短編集で劇作家として有名に なった人らしい。短編を選んだのも訳者。短編をもとに 作者自身も戯曲を書くことが多かったらしく収録作品の多くも 元ネタになっているらしい。  訳者の短編の... ...続きを見る

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2015/05/13 23:03
根本 敬 「物語 ビルマの歴史 王朝時代から現代まで」 中公新書
 歴史を見ていくうえで軍事を無視することはできない。 特に現代のいろいろな国で長く続く軍政には注意が必要だ。 と思って本を探していたら、東南アジアの軍政について 知る前に東南アジアの歴史自体ほとんど知らないことを 思い出した。そこで歴史一般の内容についても書かれた 本を探してみて目について買ったのがこの本。  「物語」という部分はほとんど意味がない。10世紀前後から 書き起こしているけれど実質はイギリス植民地化以降の 歴史が書かれている。特に世界大戦前後からの独立に 向けての動... ...続きを見る

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2015/05/10 12:28
ジェニファー・アッカーマン 「かぜの科学 もっとも身近な病の生態」 ハヤカワ・ノンフィクション文庫
 昔も今も子供の風邪を治そうと医者のところに抗生物質を もらいに行くお母さんに、抗生物質はウィルスには効きません、 せいぜい善玉の細菌を殺して余計調子が悪くなるのが落ちですから やめなさいというと、子供をはやく楽にしたいのに何を わからないこと言うのと冷たい視線を向けられ続けてきた。  この本を読むと一般の感冒薬がほとんど役に立たないのが わかるし、風邪ウィルスが数百種類あって変異も激しく 抗ウィルス剤も意味がない。風邪の症状のほとんどが 人間の免疫機構が起こす結果であって、ウィ... ...続きを見る

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2015/05/01 21:50
鈴木恵美 「エジプト革命」 中公新書
 ジャスミン革命からアフリカ中に広がった民主化運動で 次々と国が崩壊していった中で軍部による安定とはいえ なぜエジプトは崩壊しなかったのか疑問に思ったので 読んでみた本。同じ疑問を感じた人にはお勧めの一冊。  面白いと思ったことはエジプトの軍人、軍が経営する 企業の社長を含むすべての従業員に参政権がないことだ。  都市部を中心としたリポート風の内容なので、歴史の 力学や経済学的な原因論を求めているような人には 物足りない。また軍部を中心に動く話なので、軍隊は とにかくダメという... ...続きを見る

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2015/04/29 08:36
小林禎作 「雪の結晶はなぜ六角形なのか」 ちくま学芸文庫
 「雪の結晶はなぜ六角形なのか」という問いに一生懸命 答えようと原稿を書いたら、中高校生には内容が難しすぎる と編集部に言われてつっかえ返されたそうだ。そこで 四苦八苦書き直して、水の結晶の結合の仕方、角度、強度から うまーく説明しています。がちがちには納得はできないけれど あー、なるほどと思わせてくれます。  中谷宇吉郎の「雪は天から送られた手紙」という言葉を 知っている人なら、ひとつとして同じ形のない雪の変化に 魅了されるでしょうし、その変化の仕組みに興味があるはず。 この... ...続きを見る

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2015/04/08 15:45
コペルニクス 「天体の回転について」 岩波文庫、矢島祐利 訳
 四十年も積読本だった本をようやっと片付けた。 コペルニクス的転換と言ったって実際コペルニクスが どう考えたかなんて読んでみなけりゃわからない。 この本は全六巻でうち五巻は実際の軌道計算で 考え方の概略は一巻に書いてある。この翻訳は その一巻を訳している。しかも翻訳にして50ページ しかない薄さだ。私のように長く積読本になどしないで さっさと読んでしまおう。  内容も直線と円、球の知識さえあれば読めるので 難しくない。軌道が楕円であることを知っていて 宇宙から地球をすでに見て... ...続きを見る

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2015/04/07 00:49
吉田洋一、赤攝也 「数学序説」 ちくま学芸文庫
 この本は結構知られた本らしい。私は監修者に「零の発見」の 吉田洋一の名があったので買ったというのが正しい。  ユークリッドからヒルベルトの公理主義、群、環、体と数学の 考え方の歴史を追っかけている。証明とは何か、推論とは 何かということの変遷を叙述しているといってもいいかも しれません。後半は数学基礎論みたいな話になっています。  この本は大変読みやすい。読みやすすぎて恐ろしいのは なにやらすっかりわかったような気がしてくることです。 すらすら読めるので逆にまったく棘がない。 ... ...続きを見る

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2015/03/30 01:15
落合淳思 「殷-中国史最古の王朝」 中公新書
 この本は面白い。一次資料である甲骨文字を使って 殷の歴史を再構成している。史料である「史記」などの 記述が後の時代にいろいろと加工されていることなどを 論証している。占いで扱っている狩猟の政治的意味などに ついてなどにも話は及んでいる。  昔甲骨文字と言ったら文字自体にのみ関心を寄せた 記述しかなかったけれど甲骨文字の記述内容そのものに 立ち入っている点が面白い。とはいうものの甲骨文字の 事例が多く扱われているので文字自体に興味ある人にも 面白いかもしれない。  お勧めする... ...続きを見る

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2015/03/09 04:07
大貫 隆 「グノーシスの神話」 講談社学術文庫
 本書の性格は「あとがき」に詳しい。グーノシス思想の 基本文書である「ナグ・ハマディ文書」というのがある。 この翻訳が岩波書店から出ているのだけれども生の 文書をいきなり読むのは難しいので、抜粋と解説を加えた 本を同じ岩波から出した。その本を文庫化したのが本書。  どんな内容でもなるべく原点に近いものを読むのが基本。 とはいえキリスト教異端として名前は有名でも内容となると とんとよくわからないのがグノーシス。内容そのものに近い その点では特にお勧めできる本です。  光と闇の二元... ...続きを見る

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2015/02/24 03:27
長沼毅・倉持卓司 「超ディープな深海生物学」 祥伝社
 深海生物を基本的には1章1種で12章紹介した博物誌的な 本です。面白い本なのですがなぜか読んでいると物足りなさを 感じる。なぜかなあと考えていたら、もしかして深海生物って まだほとんど実態が知られていないのかもしれないと思った。 深海底の熱水噴出孔あたりの生物の話はそれだけで一冊に なりえるパラダイムシフト的世界の話だと思うのだけれども これもあっさり扱われている。  とはいえ車中で読む本としては十分面白い。テレビなどで 深海の映像を見て、あれあいつだとニヤリできること請け合い... ...続きを見る

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2015/02/23 00:51
志賀浩二 「中高一貫数学コース 新しい数学教科書の構想」 岩波書店
 この本は同著者によって書かれて岩波書店から出た 数学教科書、 ...続きを見る

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2015/01/02 00:33
志賀浩二 「現代数学への招待 多様体とは何か」 ちくま学芸文庫
 高校生でも読める多様体への入門書として1979年に 岩波書店から出版されたものを文庫化したもの。  高校生でもと言っても微分や行列、連続性についての 補強や特に集合論的扱いなどいくつかの点で多少慣れてないと きついかもしれない。それでも私のような数学的センスに 欠けた数学音痴でもとりあえず最後まで読めたので 何とかなると思います。  読み物なので考え方の説明が優先されています。 証明も厳密さはわざと多少犠牲にしていますが丁寧です。 近さという考え方から説き起こし、微分、滑らか... ...続きを見る

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2014/11/24 01:23
網野喜彦 「日本の歴史をよみなおす(全)」 ちくま学芸文庫
 網野氏と言えば、百姓と農民の違いを説いたり、 百姓は水呑百姓で貧乏、搾取され続けたといった日本の 歴史の常識を見直そうと実践した人として有名。この本も 筑摩書房の社員を前に講演をした内容を本にしたもので 日本史全体を対象に見直している。文庫版に際して 「続・日本の歴史をよみなおす」と合わせて一冊になった。  網野さんの本は読んでいて楽しい。特に一般向けの この本は気楽に読めます。もし気に入ってもう少し 詳しい本を読みたいのなら、「平凡社ライブラリー」に 何冊か網野氏の本が出て... ...続きを見る

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2014/10/15 04:38
日野行介 「福島原発事故 被災者支援政策の欺瞞」 岩波新書
 福島原発事故のその後の対応を扱った第2弾。 第1弾は「県民健康管理調査の闇」。  著者の勤める毎日新聞の報道と取材を中心に 「子供・被災者生活支援法」の成立とこの法律のその後の 骨抜きにされていく過程を追いかけている。 骨抜きの過程は避難している人に対して、もう安全だから さっさと帰りなさい。帰らない人には援助は打ち切ります。 という形で進行します。  秘密裏に画策するいろいろな人の中で一番ひどいのが 役人。役人だってまともな人もいるのは重々承知の上で こう書いていますが、... ...続きを見る

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2014/09/27 07:47
本村凌二 「愛欲のローマ史」 講談社学術文庫
 その世界をその世界のまま受け止める。 言うのは簡単だが実際に行うのは大変だ。それが古い時代に なればなるほど資料がなくなり更に大変になる。 この本はそんな時代の思いを再構成しようと試みる本のうちの 一冊。  ローマ時代の人々は退廃的でモラルが崩壊していると一般に 思われているが、はたして現実はどうなのか。 検証を一世紀後半を境に100年間ぐらいに絞っている。 このころがローマ人の意識の転換点とみている。  男色、姦通、売春などいろいろ取り上げている。結婚が 夫婦二人の契約の... ...続きを見る

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2014/09/15 06:09
中野京子 「名画で読み解くロマノフ家12の物語」 光文社新書
 オビに印刷された「皇女タラカーノヴァ」に魅かれて買ったという 軽薄な理由で読んだ本。  「名画で読み解く〜12の物語」シリーズでハプスブルク家、 ブルボン王朝と続くロシアのロマノフ王朝の物語。 タイトル通りカラー印刷で絵画を挿絵にして物語る本です。  子殺し、妻殺し、夫殺し、姉弟で争い殺し合い、エトセトラ、 殺し合いならたいてい何でもありの血塗られた歴史を 語って、最後はラスプーチンが登場。そしてロシア最後の 皇帝の一家は革命政府に秘密裏に惨殺されて終わる。 遺体はソ連崩壊後... ...続きを見る

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2014/08/10 21:39
窪田蔵郎 「鉄から読む日本の歴史」 講談社学術文庫
 技術史を眺めるうえで金属の歴史を押さえておくことは とても重要。しかしその手の本を探すと意外と見つからない。 その意味では貴重な本のひとつで、金属のうち鉄に焦点を 当てた本。  面白いと思ったのは鋳造と鍛造のふたつを発展史的に 捉えないで、その手に入る金属の質と量、導入された時期 などの個別の条件を検討して論証している点。  鎌倉以降の解説は詳しいが、それ以前、古代の鉄器の 普及の説明などでは生産力の発達的な紋切り型の 説明が目立つ。文庫に組み入れられる前の発行が1996年 ... ...続きを見る

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2014/07/29 12:21
本村凌二 「古代ポンペイの日常生活」 講談社学術文庫
 ポンペイに残された多量の落書きからポンペイの人たちの 日常を描いてみようとしている本。おもしろい。有名な カエサルの言葉「来た、見た、勝った」を下敷きにした売春宿の 落書き「来た、やった、帰った」には思わず笑ってしまった。  公職への推薦文や見世物興業のお知らせなどは専門の 職人が壁にポスターとして書いたりもしている。しかし 落書きだから飲んべのたわごとから恨み言、あいさつ、 春の売値までとなんでもありだ。そして全体に明るくおおらかだ。 まあ著者が取捨選択した結果かもしれません... ...続きを見る

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2014/07/29 11:36
アッリアノス 「アレクサンドロス大王東征記」 岩波文庫
 普通の王のように領土問題や境界領域の拡張、 覇権の拡大のための戦争をするのではなく、あくまで 広く遠い世界の征服を目指し続けたアレクサンドロス。 その姿勢の違いが普通の感覚の人々との軋轢を 生み、いったんは調整のため遠征を仕切りなおして 再度挑戦の準備の途中で倒れる。  この本は遠征に出かける前後の事情、政治的な話等は 簡単に触れるだけ。遠征時にも戦闘以外のことは ほとんど触れていない。征服記に徹しています。 ...続きを見る

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2014/06/28 00:21
永山 薫 「増補 エロマンガ・スタディーズ」 ちくま文庫
 この本はかつて猥褻裁判のため「猥褻」部分が 削除されて出版された「悪徳の栄え」のような本だ。 理屈の塊のような本なのだ。本当の面白さは 猥褻でエッチな対象とする漫画を読んでみることだ。 とはいうもののこの世界はとても広くてどこを 誰を読んだらいいかはよくわからない。 実はわたしもこの世界はよくわからない。 ときどきはウォッチしてきたのだけれども たまにどっきっとするような面白い作品に 出会うことがある。しかし探すのに苦労する。 ほんの一時期一般の書店にも出回っていた 同人... ...続きを見る

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2014/06/27 23:07
トゥキュディデス 「歴史」 ちくま文庫
 戦争、戦争、ただひたすら戦いの話。戦闘の合間に 演説、弁明が挟まれて話は進む。 ...続きを見る

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2014/05/26 13:24
E・M・フォースター 「アレクサンドリア」 ちくま学芸文庫
 この本は古都アレクサンドリアの観光案内です。 間違ってもアレクサンドリア都市史のような史書では ありません。私のように内容もろくすっぽ確認しないで 買わないようにしましょう。   E・M・フォースター   「アレクサンドリア」   中野康司訳 ちくま学芸文庫  とは言うもののこの文庫の訳出部分は 「アレクサンドリア、その歴史とガイド」の「歴史」部分のみを 訳出した本です。イギリス人が書いているのでやっぱり 宗教部分が一番詳しく書いてあってグノーシスやコプトまで 出てきます... ...続きを見る

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2014/04/12 20:27
小林登志子 「5000年前の日常」 新潮選書
 この本はかなり欲張ろうとしています。最古の文字記録から 最古の都市文明、シュメル人たちの生活、思い、日々すべてを 可能な限り記述しようとしています。   小林登志子   「5000年前の日常」   シュメル人たちの物語     新潮選書  記録媒体が粘土板だったため奇跡的に行政情報その他 いろいろな記録が残っていたとはいえ、現代だって庶民の 記録は残りにくいし無視されやすいのに、可能な限り すべての階層の話に記録を構築しなおすのは至難の業。 うーん、うまくいったかどうかは... ...続きを見る

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2014/04/10 04:26
森谷公俊 「アレクサンドロスとオリュンピアス」 ちくま学芸文庫
 アレクサンドロス大王の母親の物語。アレクサンドロスの 話ではない。そこがとてもよい。魅力的な女性なので 読みなさい。 ...続きを見る

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2014/04/09 21:32
中田 一郎 「メソポタミア文明入門」 岩波ジュニア新書
 内容はタイトル通りメソポタミア文明の入門解説書 そのまんま。 ...続きを見る

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2014/04/02 03:36
立川昭二 「明治医事往来」 講談社学術文庫
  立川昭二   「明治医事往来」 講談社学術文庫  明治開港から大正に至るまでの明治全般の「医事」を扱っています。 系統だった医療史とかではなく、主に医療を受ける人々の側の事情や 衛生問題その他もろもろ何でもありで話題が拾われます。  乳母イラズ(哺乳瓶)の新聞広告や売薬広告の話、女医事情、 比較的大きく扱っているのが流行病や伝染病、有名人では石川啄木、 夏目漱石等が登場します。面白い所では地方の互助組織による保険の 走りとも言える定札医の話などなど。ある意味話はバラバラです。... ...続きを見る

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2014/01/21 13:11
ニクラウス・ヴィルト 「アルゴリズム+データ構造=プログラム」 とSmalltalk
 ニクラウス・ヴィルトの古典的名著    「アルゴリズム+データ構造=プログラム」     日本コンピュータ協会 刊 を読んだ。名著だというのに何十年も積読本だった。もう古本屋でないと手に入らないかもしれない。  ところで繰り返しますがこの本のタイトルは「アルゴリズム+データ構造=プログラム」。この本のカバーだけにタイトル以外のPASCALという文字が入っている。カバー以外にはこの本のどこにもPASCALという表題はない。しかしこのカバーの文字のためにこの本がPASCALの教本だと勘違い... ...続きを見る

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2014/01/17 05:44
アーサー・ケストラー 「ヨハネス・ケプラー」 ちくま学芸文庫
 ちくま学芸文庫  アーサー・ケストラー 「ヨハネス・ケプラー」  副題 「近代宇宙観の夜明け」  小尾信彌/木村博 訳  ...続きを見る

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2013/11/13 00:43
スティーブン・ワインバーグ 「電子と原子核の発見」 ちくま学芸文庫
 ちくま学芸文庫 本間三郎 訳  スティーブン・ワインバーグ 「新版 電子と原子核の発見」 ...続きを見る

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2013/11/07 22:08
榧根 勇 「地下水と地形の科学」 講談社学術文庫
 講談社学術文庫の一冊。サブタイトルに    「水文学入門」 とあって、何やら占いの本かと思っていたら 辞書にも水文学と載っているれっきとした地球上の 水の循環を扱う学問。この本では主に地下水を 扱っています。著者の初めての一般書。  前半は一般的なことやいろいろなところの地下水、 井戸を見てきたり調査したことが書かれていますが、 後半になると黒部川の扇状地、武蔵野、東京、 玉川上水の水と地下水、地層、断層、湧水と 地域限定、具体的になります。  水を追いかけるトレーサーが... ...続きを見る

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2013/10/15 18:05
日本オリエント学会 監修 「メソポタミアの世界」 上下
NHK学園 通信講座 古代オリエント史 テキスト 日本オリエント学会 監修「メソポタミアの世界」 上下巻 ...続きを見る

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2013/09/14 04:12
ジョゼフ/フランシス・ギース 「中世ヨーロッパの家族」 講談社学術文庫
講談社学術文庫版 「中世ヨーロッパの家族」 ジョゼフ/フランシス・ギース 著  三川基好 訳 ...続きを見る

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2013/09/13 05:43
米沢嘉博 「戦後少女マンガ史」 ちくま文庫
 今書店に行くと少女マンガのコミックスが一番目立つところのブースの大半を占めています。少年漫画や青年漫画なんぞ脇に追いやられています。しかし昔はマイナーもマイナー、女の子だって少女漫画雑誌を読む子は滅多にいない。せいぜいファッション画まがいの絵を見るぐらいです。そのうえその少女雑誌を見る男の子なぞはオタク中のオタク。  ところで現在大家といわれてしまっている多くの漫画家はこのころの少女雑誌で食いつないでいました。雑誌の多くの作家が男でした。新人の作家には発表の場が少なかったのです。しかしこの時... ...続きを見る

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2013/08/08 12:43

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