ヴィリエ・ド・リラダン 「未来のイヴ」 光文社古典新訳文庫

 オビに「アンドロイドSFの祖」とあったので読んでみた。1886年の出版だが、アンドロイドという言葉はすでにオートマタ、自動人形のような意味で使われていたようで、人造人間というような意味では初めて使われたようだ。  絶世の美女を恋人にした男が彼女の内面の乏しさに絶望して自殺しようとしたところを科学者が外面をそっくりにしたアンドロイドを…
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網野善彦 「日本の中世の百姓と職能民」 平凡社ライブラリー

 百姓はいろいろな姓のもののことで農民だけを指す言葉ではない。特にこの書での百姓は平民百姓のことで、つまり中世の公民のありようについて書かれている。職能民はいろいろな「芸」を持つ人々のことで百姓とは区別されているが、時代によって百姓に組み込まれたりするという複雑な動きをする。人々の力関係というものは複雑だ。  この本は論文等をまとめた…
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網野善彦 「無縁・公界・楽」 平凡社ライブラリー

 昔、中世と言えば暗黒の中世だった。それがヨーロッパでも日本でも現実的な光があたって見直されるようになった。日本で見直した一人が網野氏。現在5冊が平凡社ライブラリーにある。その一冊。天皇と直接つながるという制約を受けいれることで公民とは別の「無縁」な自由な場所を手にした人々がいた。逆に言えば王権の衰退とともにその立場も変遷を余儀なくされ…
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デフォー 「ロビンソン・クルーソー」 光文社古典新訳文庫

 この物語は児童向け簡約版で読むことが多いけれど、私もその程度の知識しかなくて全訳を読んでみた。しかし読んでみてびっくり。難波して無人島にたどり着くのだけれども、座礁した船からかなり大量のものをもちだし結構な文化生活を送るし、都合よく聖書も手に入れる。島の生活で孤独に襲われるも神の恩寵に感謝して心安らかに永年暮らす。環境設定としてはアメ…
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小野寺史郎 「中国ナショナリズム」 中公新書

 近くの国を理解しようシリーズ。最近の中国と言ったら中国のナショナリズムというので選んだ本。  ナショナリズムはよく知られている通り近代、現代の概念。特に大戦後に影響の大きい考え。わかりづらいのは民族主義とナショナリズムは別物だけれども区分けがわからないくらい混淆している点だ。そのうえ著者がぶやいているとおり現代中国でナショナリズムの…
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三上 章 「現代語法序説」 くろしお出版

 学生の頃、日本語文法はピンと来なくていつもの通りチンプンカンプンだった。学校文法を離れて、三上の代表作「象は鼻が長い」など色々読んでいると日本語文法もいろいろあると感じる。例えば日本語はぺったんぺったん張り付け言葉でいくらでもくっつけられる。当然話の力点は大抵後ろにある。三上の主張する「日本語には主語はない」などを読んだときは、なるほ…
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アレクサンドル・デュマ 「モンテ・クリスト伯」 岩波文庫

 レーニンに疲れたので本屋で目に入った「モンテ・クリスト伯」を読んでみた。古い人なら「巌窟王」というやつですね。内容は有名な本なので省略。岩波文庫版の訳は1956年の改版なので少し古いですが充分読みやすく、7分冊もあるのに一気に読めます。  巌窟王の記憶というと、テレビか何かでやっていた映画かアニメの記憶しかない。騙され裏切られて牢獄…
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中沢新一 「新版 はじまりのレーニン」 岩波現代文庫

 久しぶりにドイツ哲学用語の塊を読んで疲れた。レーニンを探していて「哲学ノート」の本を見つけてろくすっぽ中身を確認しないで喜んで買ってしまった。しまったというやつだ。レーニンの「哲学ノート」は弁証法の宝庫なので若いころドキドキして読んだ。レーニンのその他の著作はどうも少し無理してるという印象だけれど、この「哲学ノート」は別格だ。国民文庫…
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鶴岡真弓 「ケルト 再生の思想」 ちくま新書

 ハロウィンの元になったケルトの祭りを起点にケルト文化の死生観、考え方を紹介している本。もともとヨーロッパ大陸に住んでいたケルト民族が民族移動で北に押しやられてアイルランドに残るケルト文化を中心に記述されている。大陸のガリアに残る文化も紹介されている。  一年を4つに分けて、農耕牧畜文化の自然との関わりを生と死、光と闇を循環としてとら…
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ニック・レーン 「ミトコンドリアが進化を決めた」 みすず書房

 共生したミトコンドリアを単なる細胞の構成物と見なさず、真核細胞、多細胞生物への進化、雌雄の分化、アポトーシス等などの機能の発生の原因になったと主張している著書。いろいろな研究結果から推論している。推論なので異論はいろいろあるが魅力的な主張だ。ミトコンドリア同士の水平遺伝、ミトコンドリアの膜の意味など多々面白い話が満載。なるべく予備知識…
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二松啓紀 「カラー版 絵はがきの大日本帝国」 平凡社新書

 米国のラップナウ夫妻が集めた日本の絵はがきの個人コレクションを中心にして明治から戦中までの日本をのぞいてみた本。  私は視覚人間なのでどうも文字を中心とした歴史の話はイメージがわきづらい。ついつい視覚に頼ってしまう。その点この本の絵はがきはわかりやすい。とはいえ絵はがきを読み解くのはなかなか大変そうで解説もちゃんと読まないとなかなか…
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武田悠 「日本の原子力外交」 中公叢書

 内容は署名そのもの。著者は日米関係史の専門家。日本原子力研究開発機構核物質管理科学技術推進部博士研究員として席を置いていたことからもその記述の立ち位置がわかる。アメリカの影響と規制下、出来るだけ目立たずこっそりと日本の主要なベース電源として原子力をいつの間にか育て上げた原子力政策。隠蔽体質たっぷりで突っ込みどころ満載のその政策と表裏一…
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岩佐淳士 「王室と不敬罪」 文春新書

 タイの現代史。近くの国を少しずつ調べていこうシリーズで選んだ一冊。一昨年亡くなられたプミポン国王のカリスマ性に支えられた王制とタイ式民主主義。近年続くタクシン派と反タクシン派の確執。日本と親しい国の割にはよくわからない国タイをプミポン国王と王室を中心に読み解こうとしている本です。  既得権益を守ろうとする王室派と軍部の反タクシン派、…
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土屋健 「リアルサイズ古生物図鑑」 技術評論社

 これはおもしろい。古生物を現代の生活の中に溶け込ませて、実在感、スケール感が味わえる本。すしネタにされたり、産地直送の店頭販売したり、ホエールウォッチングならぬ船のそばでジャンプする巨大魚、犬とにらめっこしたり、いっしょに泳いだりと実に楽しい。  著者はがちがちの「古生物の黒い本」シリーズを書いた土屋健。監修も同シリーズでタッグを組…
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ローランソン/ジェミソン 「インディアンに囚われた白人女性の物語」 刀水書房

 開拓時代のアメリカの1675年と1755年ごろ、それぞれインディアンの捕虜となった二人の女性の物語。インディアン捕虜体験物語という分野に属する本はアメリカ人ならだれでも一度は読む本らしい。古くからベストセラーの二冊の翻訳。  一人は戦いながら移動を続けるインディアンに連れられて行った牧師の奥さん。かなり自由に動いているなあという印象…
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須田桃子 「合成生物学の衝撃」 文藝春秋

 生物工学的に100%人間の手で作成した必要最低限の遺伝情報を母体となる細胞に移植して増殖させる。何回か増殖していくうちに工場母体となる細胞に由来した部分が減っていき最後には完全に人工的に設計された細胞のみとして自己増殖し続ける。そんな生命の最小セット、人口生命体ミニマル・セルの話。  従来は必ずしも狙った位置に改変遺伝子を埋め込めな…
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増井真那 「世界は変形菌でいっぱいだ」 朝日出版社

 変形菌、血管のように湿ったところをはいずっているあのぬめっとしたやつですね。著者は16歳。5歳で変形菌に出会い、変形菌がきれいだと思い、7歳で研究生活に入ってしまった幸運な人です。そうですきれいだと思ったらもう終わりなのです。私も若いころ顕微鏡下の生き物を美しいと思った一人です。そう思ったときが終りです。生物学から離れることはできませ…
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井上孝司 「戦うコンピュータV3」 潮書房光人社

 軍隊におけるコンピュータとネットワーク利用の状況を米軍を中心に網羅している。軍隊のことなので詳細は秘密だが、民生品利用がかなり進んでいるのでそこからかなり推測されている。数ページから10ページほどを一項目にして450ページも記述しているので細かい。そのうえ頭文字略語のオンパレードで読みやすいとは言えない。巻末に略語一覧まである。概観す…
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プレヴォ 「マノン・レスコー」 光文社古典新訳文庫

 タイトルに惹かれ、新訳が出たというだけで買った本です。現在なら未成年の駆け落ちものです。マノンは現代の女の子に結構いそうな贅沢好きの天然の性(小)悪です。しかし主人公の方はそれに輪をかけてアホです。読んでいるとそんな馬鹿なと愚痴りながらついつい読み進んでしまいます。これじゃまったく昼ドラの手法の読み物じゃんといいながら最後まで読みます…
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プリーモ・レーヴィ 「これが人間か」 朝日新聞出版

 小説「天使の蝶」、アウシュビッツからイタリアまでの帰還を扱った「休戦」ときて、ようやっとアウシュビッツにたどり着いた。この順序がよかったと思う。やはりアウシュビッツはつらい。いきなりアウシュビッツはやめた方がいい。  著者の態度は序の中で、「新たに告発条項を並べるために書かれたのではない。むしろ人間の魂がいかに変化するか、冷静に研究…
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